《 小商い賃貸推進プロジェクト 》Vol.003

室内を改装してプライベートサロンを開業できる、新築の小商い賃貸マンション(in 秋葉原)

投稿日:2023年3月30日 更新日:

小商いスペースはお店のイメージに合わせて改装したい

賃貸マンションの1室を借りて、ネイルサロン、リフレクソロジーサロン、まつげエクステサロンなど、完全予約制のプライベートサロンを開業したいという方が増えています。
不特定多数のお客様が館内を出入りする職種は、「他の居住者に迷惑を及ぼす可能性がある」という理由で不動産オーナーや管理会社さんから敬遠されがちですが、完全予約制のサロンであれば、ハードルは少し下がります。
ただ、開業は承諾してくれても、室内の改装までは許可していただけないことが多いです。
将来退去されたとき、きちんと原状回復をしていただけるか不安だというのが大きな理由ですが、プライベートサロンを開業するなら、お店のムードづくりのためにも改装はしたいところですよね。
私は「小商い賃貸」を標榜する物件であるならば、改装を認めることは大事な要素のひとつだと考えています。

新築・築浅物件は改装許可が下りづらい

改装を許可していただけるという点で言えば、築古のマンション・アパートはOKしてくれるケースがありますが、新築・築浅の物件では非常に難しいという現実があります。
理由はいくつもありますが、その筆頭は改装できることを“売り”にしなくても、入居者さんが決まるからでしょう。
きれいな室内はそのまま使ってもらいたいという気持ちが不動産オーナーや管理会社さんにあることも大きいと思います。
けれど、築古のマンション・アパートは特別にリノベーションをしていない限り、外観・共用部もそれなりに劣化していますから、お客様に与える印象は良くないことが少なくありません。
プライベートサロンはイメージを大事にしたい職種なので、できることなら新築・築浅の物件を借りて開業したいと思っている方がたくさんおられるのではないでしょうか?

新築でも改装OKというマンションを企画

新築・築浅物件は改装を許可してもらえない・・・そんな“常識”に一石を投じてみたいと思い、私は本年(2023年)1月に「内装を自由にアレンジできる新築マンション」をつくってみました。
“小商いしながら暮らせる部屋”をコンセプトとし、東京・秋葉原に新築したマンションで、この物件のオーナーさんは、私の企画をいつも積極的に採用してくださる、ありがたい方です。
「小商いにはプライベートサロンも含まれていて、サロンをしたい方なら当然、お店のイメージに合わせて改装したいはず!」。そう言って内装を自由にアレンジできる特典をつけることを提案したところ、即座にご快諾くださいました。
これはおそらく非常に珍しいケースなので、仲介業者さんたちも慣れておらず、小商い賃貸物件を探しておられる方たちに、この特典を伝えることが難しいだろうと思ったので、「どこまで改装できるかを示すためにモデルルームをつくってみたらどうでしょうか?」と提案しましたら、それも受け入れてくださいました。
そのモデルルームが完成しましたので、ここでご紹介したいと思います。

内装アレンジの内容を説明するためにつくったモデルルーム

こちらは今回の新築マンションの間取図です。
専有面積44㎡・1LDKという間取りで、LD(リビングダイニング)を小商いスペース、ROOM(洋室)をプライベートスペースにしていただくイメージで設計してもらいました。
このお部屋のリビングダイニングと洋室をブルックリンスタイルをテーマに改装しました。

まずリビングダイニングですが、「クロスの張替え・上張りOK」ということを伝えるために、左右の壁にレンガ調のアクセントクロスを張りました。
また「塗装可」であることをPRするために、アクセントクロスを張っていない壁と天井はグレーに塗装しました。
床も「フローリング、フロアタイル、タイルカーペット等に張替え・上張り自由」としているので、ナチュラルな木目調だったフローリングの上から、ダークブラウンのフロアタイルを上張りしています。

「棚の設置もOK」としているので、右側の壁面には飾り棚を設置しました。
今回のケースではガチャ柱を採用していて、棚の枚数や位置を自由に変えられるようにしています。

壁・天井だけでなく、エアコンなど設備にも塗装OKとしていて、それをお伝えするために普通に白かったエアコンは部屋の内装に合わせて黒く塗装してみました。
このお部屋の改装を頼んだ業者さんは、普段は店舗内装をメインにされているので、これぐらいはお手の物。電気コードは塗装できないので、黒いビニルテープを巻き付けてくれました。
そのほか、今回は給気口も黒く塗装してあります。

スイッチプレートやコンセントプレートは、シルバーや黒のものもあり、この物件はその交換もOKです。
1個あたり数百円から1,000円程度で買えるので、内装プランに合わせて全部変えてしまっても、たいして金額は張りません。

洋室はプライベート空間なので、何もしないでおいていいかなと思いましたが、ここも改装OKなので、それをお伝えするために奥の壁にアクセントクロスを張りました。

もう1点、クローゼットの建具に黒いレザー調のダイノックシートを張ってみました。
元々は黒の木目調だったので、近づいてみないと変化に気が付きづらいですが、建具にダイノックシートを張ることもOKということをPRするためにあえてトライしました。

これぐらい改装できれば、自分のつくりたいお店の姿にきっとできるはずです。
さらに大胆に・・・たとえば室内にシャンプー台を設置したいなどのご希望があった場合は、プランを拝見し検討することとしています。ただ、いったん床を解体するなど、大掛かりな工事となり、当然コストもかかりますから、そこまでされる方は少ないかもしれませんね。
ちなみに施工業者さんは自分で選んでくださってもいいですし、頼む先がないという方には、このモデルルームをつくってくれた業者さんを紹介しています。
内装アレンジを希望された方には、工事期間を見込んで1ヵ月間フリーレントとなる特典もついています。

共用部にもひと工夫

 

「改装」というテーマとは少しずれますが、この新築マンションは共用部も充実しているので、そのことも簡単に紹介しておきたいと思います。
まず屋上ですが、こちらはラウンジ仕様になっていて、入居者さんは自由に使っていただけるようになっています。
天気のいい日は、ネイルなどの施術を屋上ラウンジでやってみたら面白いかもしれません。
シンクがついたカウンターキッチンがあり、貸し切りもできるので、お得意様を呼んでパーティーなど開いたら喜んでいただけそうです。

エントランスにはフラワーアートや人気美術作家さんの作品が展示されているので、お客様に良い印象を与えられることでしょう。
エントランスが貧相なマンションですと、サロンも怪しい感じになってしまいがちなので、これは利用しない手がありません。

この新築マンションの募集情報など、詳細は「ワクワク賃貸物件集」Vol.050にてご確認ください。
本稿配信時点(2023年3月30日)では、まだ数室空いているので、すぐに内見いただくことが可能です。

改装OKの新築・築浅物件を増やしたい

小商い賃貸やSOHO可能な賃貸マンションを標榜しているにもかかわらず、改装を認めていただけない物件の場合でも、照明器具やパーティションなどを使って、それなりに内装をアレンジすることは可能です。
おそらく現在はそのように工夫して、小商いをしておられる方が多いと思いますが、でももっと自由度が上がると嬉しいですよね。
私は、改装後も原状回復は不要とし、次もまた小商いをしたい方にご入居いただき、内装を自由にアレンジしてもらえばいいのではないかと考えています。
前の入居者さんがつくった内装が素敵なものだったら、それを気に入ってご入居くださる方もきっとたくさんいるはず。
「原状回復」という固定観念から脱して、日本の賃貸住宅はもっと自由になっていってほしいなあと思います。
また「住宅」としてつくられた部屋は住宅以外の用途では使えないという固定観念からも脱してほしいです。働きながら暮らしたいというニーズは、まだ表面化していないだけで、きっと根強いものがあるはずですから。
秋葉原につくった今回の新築マンションが、その先駆けになれたら嬉しいです。

文:久保田大介

  • この記事を書いた人

久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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