私の本業は、このウェブマガジンを編集・配信することと、ワクワク楽しいコンセプトを持った賃貸住宅を作ることです。
このうち後者については、私の会社単独で作るのではなく、不動産オーナーへコンセプト型賃貸住宅を新築したり、リノベーションしたりしていただくためのコンサルティングを行っています。
以前はクライアントであるオーナーさんから
「久保田さんにお任せするので、何か楽しいプランを考えてください」
と依頼され、対応することが専らだったのですが、このところはオーナー自身のアイディアを実現させるため、企画(プランニング)、賃貸募集(リーシング)、管理(マネジメント)の方法をご指南申し上げる方針に改めています。
自分自身が好きなこと、やってみたいことを実現させていくほうが、オーナーさんも楽しいし、作る意欲が増しますし、完成レベルも高いものになると思うからです。
結果、そこを選んで暮らされる入居者さんたちにもよりご満足いただけるものが出来上がるはず。
そう信じて、私のスタンスを変えました。
さて本日は、そんなコンサルティングを実施している中からひとつ、「アクアハウス・プロジェクト」という事業をご紹介いたします。
皆さんは「アクアリウム」「ビバリウム」「テラリウム」という言葉をご存知でしょうか?
いずれも小動物の飼育設備・環境を指すもので、おおざっぱに言うと、魚類(熱帯魚、淡水魚、海水魚等)を飼育するのが「アクアリウム」、陸で暮らす爬虫類(ヘビ、トカゲ等)を飼育するのが「テラリウム」。「ビバリウム」は小動物全般を飼育する設備・環境を示す言葉だったようですが、「テラリウム」と同じく爬虫類を飼育する設備・環境として理解されていることが多いようです。
また水陸双方で暮らす小動物(カメやカエル等)を飼育する「アクアテラリウム」というものもあり、少々複雑ですので、ここでは簡単に「アクアリウム等」という言葉で説明を続けていきたいと思います。
私が賃貸管理をしている物件で、「アクアテラリウム」を作っておられる方がいるので、参考までに写真をご覧ください。この方は、ここでヘビやカエル、トカゲを140匹以上も飼っておられます。
そして、今回ご紹介する「アクアハウス・プロジェクト」は、こうしたアクアリウム等を作りたい方のためにピッタリのスペースを備えた賃貸住宅をどんどん増やしていこう、という事業です。
この事業を進めておられるオーナーは、子どものころから大の熱帯魚ファン。
とりわけ夢中になったのがアロワナという大型の熱帯魚だったそうです。
ところが今はマンション住まいで、熱帯魚飼育がままならず、我慢の日々を送っておられます。
それもそのはず、アロワナを本格的に飼育しようとしたら、小さなタイプでも幅1.2メートル以上の大きな水槽が必要で、水の重さだけでも300kg以上にもなってしまいます。
普通の住宅に置いたら床が抜けてしまう可能性がありますし、万一水をこぼしたりしたら、下の階の方に大変な迷惑をかけることになります。
マンションでなく一戸建てても厳しい条件ですよね。
そこでこのオーナーは、自分と同じようにアクアリウム等を作り、魚や爬虫類を飼育したくても我慢するほかない人たちのために、一肌脱ごうと決意されました。
ついでに共用部等に自分の水槽を置いて、熱帯魚を飼いたい欲求を満たせれば、という秘かな願望も持っておられます。
すでに何棟もの賃貸住宅をお持ちの方ですが、物件余りの時代、普通の物件を増やしても意味がない、せっかく取り組むなら、これまでなかった新しい価値、サービスを提供できるものを作って提供したいと考えておられ、そのこととこの事業プランがマッチされました。
さて、ではどのように事業を進めていくべきか?と考え、はじめにされたことは「アクアリウム等の専門家との企画会議」を開くことです。
私は賃貸事業の専門家ですが、熱帯魚や爬虫類飼育には関心がないので、アクアリウム等のことはとんとわからない。
オーナーにしても、自分だけのアクアリウムを作るだけなら自己責任で自由にやればよいが、たくさんの方に賃貸していただくとなると、どこまで設備を整えご提供すればいいか考えなければならない。
また単なる「趣味」で取り組むのではなく「賃貸経営の一環」として取り組むわけだから、消費者である入居者さんはどれぐらいいるかというマーケット調査や、ニーズ調査もしなければならない。
そのためにこの道のプロにチームに加わっていただくことが欠かせない、ということでプロジェクトチームを組みました。
これまでに数度企画会議を実施し、私も末席に加わらせていただきましたが、(呼称は悪いけれど)「オタク」同士の話というのはすごいものですね。
わからない言葉がたくさん出てくることはもちろんですけれど、自分の描いていたイメージとはかけ離れていることが多いこともよくわかり、とても面白いです。
たとえば、飼育したい小動物が違う人同士の相性について。
ひとつ例をあげると、熱帯魚にも淡水魚と海水魚という分類があって、どちらの魚が好きか、飼育したいかで、大まかではあるけれど、性格や趣味、はては生活レベルや人生に求めるものまで違うことが多いのだそうです。
「イヌなんかでも同じことが言えますか?」
と訊きましたら、
「そうですね。どんなイヌでも好きだという人もいるけれど、大型犬が好きな人は大型犬だけが好き、小型犬が好きな人は小型犬だけが好きで、違うサイズのイヌには何の関心もないどころか、吠えるとうるさくてイヤだ、という人のほうが多いんじゃないですかね」
と言われました。
また小型犬の中でも「この犬種は好きだが、ほかは興味がない」という人も多いそうです。
このことを念頭に置いてプランニングをしないと、うまくいかない可能性が高まる気がします。
このとき、専門家は単に「熱帯魚を飼っている人」レベルではダメだと私は思っていて、ペットショップの店長さんだったり、獣医さんだったりである必要があると思います。
単に熱帯魚を飼っているだけの人だと、自分の熱帯魚や飼育環境のことは詳しいけれど、普遍性に欠けたり、特殊なケースを知らなかったりすると思うからです。
さて今月はじめに企画会議に参加させていただいたときのこと。
どんどん話についていけなくなって、ポカンとしている私を見て、アクアリウム等の専門家の方から問いかけられました。
「久保田さんは私たちのことを“変わった人”だと思っているでしょう?」
正直、私はそう感じていたので、「はい。変わってるなあと思ってます」と答えましたら、その方、大笑いされたあと、
「5月18日、19日に池袋のサンシャイン60にある展示ホールで『東京レプタイルズワールド』というイベントが開催されます。
これは爬虫類(英語でレプタイル)ファンのために企画されたイベントで、日本中から専門ショップもたくさん出店するのですが、一度行ってみるといいですよ。
行ったら、こんなにいっぱい爬虫類好きな人がいるんだと実感できると思います」
と言われました。
私のオフィスはサンシャイン60のすぐ近くにありますし、リーシングのお手伝いもしなければならない立場にあるので、入居者像を明確にイメージすることは必要だと考え、初日に行ってみたのです。
そうしたらもう驚いたのなんの・・・!
サンシャイン60の展示ホールAという大きなスペースに、歩くのにも不自由するほど大勢の方が集まっているのにもびっくりしましたが、男性だけじゃなく女性もいっぱいいて(爬虫類好きは男ばかりという偏見がありました)、そして小さな子どももおじいちゃん、おばあちゃんもいて、買いたいヘビやトカゲを熱心に見つめたり、直接触らせてもらって嬉しそうにしたりしている。
ある種のカルチャーショックを覚えました。
この空間に身を置いていると、ヘビやトカゲ、カメが好きでない自分のほうが“変な人”である気すらしてきたのです。
このイベントに集まっている人たちにインタビューして、「今、どんな家に住んでいますか?」「ヘビやトカゲをたくさん飼うとしたら困ることは何ですか?」とその場でリサーチしたい衝動に駆られましたが、主催者の許可なくそんなことをするのもどうかと考え、思いとどまりました。
けれど、多かれ少なかれ、困っている点、悩んでいる点はあると思うのですよね。
たとえば臭いや湿気の問題などは、賃貸住宅では特に解決が難しいように思われます。
さらに、私が感じたことは、このイベントにはビバリウム、テラリウム、アクアテラリウムを作りたいと思っている方がたくさん参加されているけど、アクアリウムを作りたい人たちはこれと同じか、それ以上に多くいて、その方たちもきっと困っていること、悩んでいることがあるはず、だということです。
たくさんの強いニーズがあって、悩ましい課題があって、けれどそれを解決できる商品があれば市場は成立しうるのだとしたら、これにあてはまるアクアハウス・プロジェクトはきっとうまくいくはず。
そんな思いを強くし、会場をあとにしました。
オーナーやアクアリウム等の専門家は、とっくにお見通しだったのだと思いますが、そんなこともわからず会議に参加していた自分を少し恥ずかしく思いました。
さて、このプロジェクトの進捗状況は、「ワクワク賃貸®」の中に新しいコーナーを設け、少しずつご報告していきたいと考えています。
それは、アクアリウム等を作ることを積極的に推奨される賃貸住宅に住んでみたい方に、「ここで頑張ってるオーナーさんがいますよ!」と伝える術になるかもしれないと思うからです。
プロジェクトチームでは温めている企画がいくつもあるので、アクアリウム、ビバリウム作りを諦めている方にその情報も一緒にお届けしたい。
プロジェクトチームの一員になっていただいて、いろんなアイディアや希望を聴かせていただけたら最高だなとも思っています。
この「ワクワク賃貸®」を、楽しいコンセプトを持った賃貸を持った賃貸住宅を産み出す場としていきたいと考えています。
「タイトルにふさわしい妄想ですね~」と笑われてしまうかもしれませんが、「千里の道も一歩から」ということでスタートさせます。
もし身の回りに熱帯魚ファン、爬虫類ファンの友人、知人がいらっしゃいましたら、是非ご紹介ください。
執筆・写真:久保田大介
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