皆さん、こんにちは。コレクティブ研究家の久保有美です。
私はコレクティブな暮らし方=「つながり、ともに働く、フラットな関係」という暮らし方について日々考え活動しています。
今回は私の暮らしている「コレクティブハウス聖蹟」の全体の間取りや、コモンスペースについてお話したいと思います。
コレクティブハウスは、シェアハウスと一般的な賃貸のそれぞれの良さをミックスさせた建物となっています。その点を契約する部屋(住戸)とコモンスペース(共用部)を分けてみて具体的に説明します。
<概念図>
住戸は、一般的な賃貸と同じようなつくりの間取りです。
住戸には、水回りがすべてあり、生活はその部屋だけで完結します。シェアハウスのように、水回りを他人と共有することはありませんので、プライバシーの問題は起きません(※ルームシェアタイプのお部屋を除く)。
一方、コモンスペースと呼ぶ共用部は、一般的な賃貸の共用部と大きく違い、どちらかというとシェアハウスに近いつくりです。居室の延長線という考え方がわかりやすいかと思います。このコモンスペースも契約者が家賃を払い、管理をしていくという考えの元に自分たち(居住者組合)で運営をしています。自分たちで家賃を払い、水道光熱費を払い、使用しています。ですので、電気のつけっぱなし、エアコンや床暖房の消し忘れ等には住んでいるみんなが気をつけています。
「コレクティブハウス聖蹟」には、外部空間も含めた多くのコモンスペースがあるため、居住者それぞれにお気に入りのスペースがあるように思います。
私のお気に入りのスペースは、2階の南側廊下です。
冬は南からの温かい日差しが入り、まるで温室のようにポカポカと温かい空間になります。北向きの部屋を契約しているので、冬場は廊下に椅子を出して資料を読んだりしていました。部屋にいるよりよっぽど暖かかったです(笑)。
先日は台風の影響もあってか、風がよく抜けたのもあり、テーブルを出して図書(漫画)喫茶コーナーを臨時で開設してみました。
廊下の一角には、本棚やソファのあるスペースもあり、うっかり本を読んでいたら寝てしまう、なんてこともあります。このスペースは小学生男子たちの読書スペースもとい遊び場でもあり、夕方は占拠されることもしばしばあります。
また、1階のウッドデッキはテーブルを移動してティータイムを楽しんだり、BBQをしたりして、コモンキッチンからのつながりを活かし最大限に活用しています。
2020年からの新型コロナウィルスの影響で居住者それぞれの暮らしが変わり、コモンスペースの使い方も変わってきていました。そこで「コレクティブハウス聖蹟」では、コロナ禍でのハウスでの暮らし方やコモンスペースの使い方などを話し合う時間をつくり、いろいろな活用をしてみようということになってきています。
一般的な賃貸だと、共用部には私物を置かない、勝手にモノを動かさないなど、さまざまな管理規約で決められた規制があると思います。もちろん、「コレクティブハウス聖蹟」にも、建物を維持保全するための規制はありますが、コモンスペースの活用・維持管理は、居住者組合(居住者)に一定の部分を任せていただく契約を貸主(オーナー)としています。
これがコレクティブハウスならではであり、一般的な賃貸物件と最も違う点です。家賃や維持管理費を居住者自身が担っているため、運営・メンテナンスも居住者が担います。一般の賃貸でいう善管注意義務とはまた違う考え方かもしれません。
ですので、火災報知器の確認の仕方を消防点検時に一緒に学んだり、廊下の電球が切れていたら自分たちで交換したり、日常的なメンテナンスも自分たちでやります。
楽しいことばかりできるわけではなく、その場所を使うからこそ、責任と運営の意識が必要なのです。責任と運営の意識をもっているから、楽しいことも考えられるとも言えるかもしれません。
普通の賃貸とは全く違う運営の仕方で、住む・暮らす居住者も最初からなんでも理解して、行動できたわけではありません。暮らし、運営していくうちにいろいろと問題が出たり、楽しいことをここで発見したり、日々この暮らしに慣れていくのです。
新しいことはやってみないとわからない!こんなことやってみたい、という思いがある方は、コレクティブな暮らしが案外マッチするかもしれません!
文:久保有美