彫刻家・大森暁生さんのアトリエを訪問
「アトリエ賃貸推進プロジェクト」の連載開始後、不動産関係者からアトリエ賃貸に関する情報や相談が増えてきています。しかし、その多くは貸し手側(オーナーや管理会社)の視点だけから企画されていて、実際にアトリエ賃貸で創作活動をし、暮らす美術家たちの意見は反映されていないように感じています。「反映されていない」と言うより「聞いていない」と言ったほうが実情に近いかもしれません。
それでは貸し手も借り手も満たされないと思うため、「アトリエ賃貸推進プロジェクト」では借り手側である“モノづくり”をする方たちの希望や意見をしっかりお聞きし、反映していきたいと思っています。
今回は、「彫刻家のアトリエ」について学ぶべく、彫刻家・大森暁生さんのアトリエを訪ねてきました。
彫刻家のアトリエというと、“激しい音”が直ちにイメージされます。大森さんからは、現在に至る前の2つのアトリエについてもお話を伺い、その問題への対応策も伺ってきました。
さっそくご紹介してまいりましょう。
[大森暁生(おおもり・あきお)さんのプロフィール]
彫刻家。1971年、東京生まれ。1996年、愛知県立芸術大学・美術学部彫刻専攻卒業。
在学中から2002年まで「籔内佐斗司工房」にて彫刻家・籔内佐斗司氏のアシスタントを務める。
1999年、町屋(東京都荒川区)に工房「D.B.Factory」開設。2005年、工房を現在の北千住(東京都足立区)に移転。
動物、昆虫、人物などをモチーフとし、その多くを実物大で制作。ストーリー性のある作品やインスタレーションは高く評価されており、国内外のギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館等での発表に加え、ファッションブランドやミュージシャンとのコレボレーションでも話題を集めている。
著書に『彫刻家 大森暁生 PLEASE DO DISTURB』(芸術新聞社)、『月痕 つきあと Fragment moon』(マリア書房)、『大森暁生作品集 しあわせな彫刻』(芸術新聞社)、『幻触 彫刻家 大森暁生』(芸術新聞社)など。
北千住に移転した「D.B.Factory」
⎯⎯⎯⎯ 「ワクワク賃貸」の編集長をしている久保田と申します。以前から「彫刻家のアトリエ」を訪問したいと思っていましたが、「大森さんのアトリエはテレビなどでも紹介されていて素晴らしい」と推薦してくださった方があり、取材を申し込ませていただきました。ご快諾くださり嬉しいです。
いきなりですが、大森さんは動物、人物、植物などがモチーフの作品をつくっておられると聞いていたのですけど、今は仏像を彫っておられるんですね!
大森:ええ。讃岐國分寺さまから依頼されて、大日如来像を制作しています。弘法大師が1200年前、平安京の東寺立体マンダラの本尊として造り、その後焼失してしまった幻の大日如来像を、東寺の寺院記録である「東宝記」の記述に基づき、約530年ぶりに忠実に再現しようという大きなプロジェクトで、今、最後の追込みに入っています。
⎯⎯⎯⎯ 「D.B.Factory」のエントランスに獅子の彫刻作品が並んでいますが、それもその一部ですか?
大森:はい。本尊と蓮華座を支える八頭の獅子です。いまは一列に並べていますが、実際には円形に並びます。大きなプロジェクトなので、エントランスもストックスペースの一部になっています(笑)。
⎯⎯⎯⎯ そんなお忙しい時期に、今日は時間を割いてくださって、ありがとうございます。それにしても広いアトリエですね~! 天井の高さにもビックリです。
大森:天井高は6mあります。ここは元々、釘工場だったんですよ。
⎯⎯⎯⎯ 釘工場?!
大森:はい、釘を製造する工場です。2階建ての木造家屋に工場が併設されていて、工場部分をリノベーションしてアトリエにし、木造家屋部分は解体して鉄骨で新築、3階を住居、2階をオフィス、1階をエントランスおよび車庫としました。 釘工場のほうは建物に染み込んだ油を洗うところから始めましたから、かなり大掛かりなリノベーションでしたよ。
⎯⎯⎯⎯ 元・釘工場とはまたすごいアトリエですね~。工場ごと買って、新築・リノベーションをされたんですか?
大森:土地は借地権です。ヤフー不動産で北千住周辺の安い物件順に検索してたら、上から2番目に出てきました(笑)。
⎯⎯⎯⎯ 借地権付物件は確かに安いかもしれませんが、新築やリノベーションをされたから、合計するとかなり高くなったんじゃないでしょうか?
大森:金額は非公開ですが、借地権とはいえこんなに広い土地を手に入れるとは思っていなかったので、結果として工事費のほうが借地権の購入代金の何倍も高くなってしまいました(笑)。
⎯⎯⎯⎯ アトリエ部分は鉄骨が組まれていますが、これは木造だった釘工場を補強するためですか?
大森:いえ、工場は頑丈にできているので、補強の必要はなかったです。鉄骨部分は大きな彫刻作品をアトリエ内で立てたり、移動させたりするときに使うチェーンブロックを設置するために増設したものです。
⎯⎯⎯⎯ なるほど。チェーンブロック用とは思いつきませんでした。ほかに彫刻や造形作品のアトリエならではの設備はありますか?
大森:そうですね~。漆室(うるしむろ)をご覧になりますか?
⎯⎯⎯⎯ 漆室って何でしょう?(と言いながら、大森さんの後をついていく)
大森:こちらが漆室です。漆風呂と呼ぶ人もいますが、ここでは漆室と言ってます。
作品に漆を塗って乾かすときは、湿度を高くして乾燥させるんです。簡単に言えば、サウナ風呂みたいな状態をつくり、その中で漆は乾かします。
⎯⎯⎯⎯ へぇ~っ、そうなんですね。それは知りませんでした。でも、サウナ風呂みたいだとすると湿気がすごそうだから、中がカビたりしないんですか?
大森:天井、壁、床で使う材木は椹(さわら)を選んでいるので、カビは生えません。ここはもう15年以上張り替えてませんが、全く生えていないでしょう?
⎯⎯⎯⎯ ホントだ、すごいですね。この空間はわざわざ作ったんですか?
大森:いえ、ここは元々、釘の洗い場だったところを改築したんです。
⎯⎯⎯⎯ おおっ、これもリノベーションなんですね! しかし漆の作品をつくる方は、皆さん、こんなに大きな漆室を持っておられるんですか?
大森:いやぁ、ここはかなり大きいほうだと思いますよ。この漆室を持てたおかげで、大きな漆作品を安心してつくれるようになりました。
⎯⎯⎯⎯ アトリエが作品に影響を与えるという話は、Vol.004で金丸悠児さんのアトリエを訪問したときにも伺いました。
大森:そうですね。アトリエはとても大事だと思います。
彫刻家のアトリエの「音」問題
⎯⎯⎯⎯ ところで彫刻作品は制作時、ものすごい音がすると聞いています。実際、どれぐらいの音がするのか、体験させていただけますか?
大森:いいですよ。では木槌を使うときの音をお聞かせしましょう(と言って、実演くださった)。
⎯⎯⎯⎯ おおっ、やっぱりすごい音がしますね! そばで寝てたら一発で飛び起きるほどの大きさです。
大森:確かに音もすごいですが、実際には振動のほうが響くみたいですね。
⎯⎯⎯⎯ なるほど、このドーン、ドーンとくるヤツですね。
大森:通常は作業時間を朝9時から夜6時までとしていて、夜間はなるべく作業をしないようにしていますが、追い込みのときはそうもいかず、そのときはゴムハンマーを使って音をセーブするよう心がけています(そう言って、ゴムハンマーを使ってくださった)。
⎯⎯⎯⎯ 確かに、音はかなり小さくなり、振動も減ります。それでもやっぱり夜間は響くでしょうね。
大森:ええ。ただ、ここは前が釘工場でしたから、そのときの音のほうが大きかったらしく、ご近所さんは慣れっこみたいです。朝、会ってご挨拶をすると「夕べは遅くまで大変でしたね~」なんて笑って言ってくださるんですよ(笑)。
⎯⎯⎯⎯ それはまた、何とも寛容な・・・。ほかにはどんな音がしますか?
大森:そうですね、チェーンソーで切断する音なんてどうでしょうか?(と言って、こちらも実演くださった)
⎯⎯⎯⎯ おおっ、こちらは木槌やゴムハンマーとは一味違って、ギューンと高い音がしますね。
大森:確かにチェーンソーの音もなかなかのものです(苦笑)。建物正面右隣りの駐車場との境にブロック塀がありますが、それは釘工場時代に建てられたものをそのまま使っていて、音対策としてはなかなか効果があります。
⎯⎯⎯⎯ 釘工場だったことの利点がそこにもあるんですね(笑)。アトリエの周囲はどうなっていますか?
大森:このあたり一帯の土地は大地主さんが所有しておられて、ご自身で駐車場などとして使うか、うちみたいに貸地にしているかです。アトリエ側の裏も駐車場とされていて、ここにマンションなんかが建ったらどうしようかな、と思いますが、地主さんからは「当面ない」と言われているので安心しています。
⎯⎯⎯⎯ 貸地だと、借地人さんは簡単に売ったり、建て替えたりもできないから、これからもあまり変わりがないのかもしれませんね。
大森:釘工場時代から周辺に住んでいる方たちもあまり変わらないので、その点は幸運なのだと思います。とは言え、それに甘えていてはいけず、こちらもできる限り気をつけて、ご近所さんとは円満にお付き合いできるよう努めてます。ご挨拶もしっかりして、雪が降ったら周りの雪かきなんかもさせてもらったりして、日頃の心がけが大事だと思ってます。
住まいとアトリエが一体であることのメリット
⎯⎯⎯⎯ 大森さんはアトリエにオフィスと住居も新築されていますね。
大森:はい。アトリエは元・釘工場ですが、住居のほうは解体して3階建てのオフィス兼住居を新築しました。 2階がオフィス、3階が住居となっています。
⎯⎯⎯⎯ 金丸さんは「住まいとアトリエは分けてあったほうが、気分転換できるし、メリハリもつけやすい」と言われていましたが、大森さんは違うんですね。
大森:そうですね。一体のほうが自分には合っていると感じています。3階の住居で寛いでいるときにアイディアが浮かんだら、すぐに1階のアトリエや2階のオフィスに行くなんてこともしばしばあります。家族がいれば別なのかもしれませんが、僕は独身なので、住まいと仕事場を分ける必要をなおさら感じないのかもしれません。
⎯⎯⎯⎯ 大森さんにはお休みの日というのはないのですか?
大森:現在アシスタントは週4日出勤でして、毎週土曜日は木彫教室をやっています。あとの日は休みにしてもいいのですが、ひとりで制作に没頭できる時間とも言えますから、結局ほとんど毎日仕事している感じですね。
共同アトリエについて
⎯⎯⎯⎯ アシスタントさんと聞いて思い浮かんだのですが、ここは何となく共同アトリエみたいな雰囲気でもありますね。
大森:そうかもしれませんね。今は仕事量的な必要性から日によって4~7名のアシスタントと共に仕事をしています。
⎯⎯⎯⎯ 共同アトリエのメリットは何だとお考えですか?
大森:家賃負担を軽減できることはもちろんですが、それ以上に孤独感に苛まれず済むことでしょうか。美術大学などを卒業して独りになると弱気にもなりますが、周りに仲間がいると勇気づけられます。僕は共同アトリエを使ったことはないですが、若い頃は籔内佐斗司先生の工房でアシスタントをさせていただいていたので、共同アトリエのメリットみたいなものは享受できていたのかもしれません。
⎯⎯⎯⎯ 共同アトリエの利点として、「人の目がないとサボってしまうが、それを防げる」という意見も聞いたことがあります。
大森:まあ、そういう要素もあるんでしょうが、そもそも誰か一緒にいないと自分の仕事ができないというようでは、フリーランスは無理ですよ。
⎯⎯⎯⎯ 厳しいご意見、ありがとうございます(笑)。
大森:でも僕はアシスタントが週4日来てくれているから、作業時間にメリハリがつけやすいというメリットを感じています。数年前までは週6日アシスタントが誰かしら来ていましたが、逆にひとりの時間を欲する気持ちが強くなって、現在の工房制の時間と独りの時間とのバランスはちょうど良いように感じています。
過去のアトリエ
⎯⎯⎯⎯ 今回は「彫刻家のアトリエ」というテーマで取材をさせていただいていますが、北千住にアトリエを新築・リノベーションされる前のアトリエはどんなものでしたか?
大森:僕の実家は豊島区にあるのですが、愛知県立芸術大学を卒業してからは、籔内先生の工房でアシスタントとして仕事をするかたわら、実家で自分の作品をつくっていました。
⎯⎯⎯⎯ ご実家のアトリエはどんな感じだったでしょうか?
大森:アトリエなんて立派なものじゃありません(苦笑)。実家は祖母の部屋と中で分かれている、今で言う二世帯住宅のよう間取りだったのですが、祖母が亡くなったあと祖母の部屋は物置みたいになっていて、そこの一部、3畳ぐらいの台所で制作していました。
⎯⎯⎯⎯ それはかなり狭かったですね。
大森:狭いだけじゃなく、美大在学時には当たり前のように備えられていたクランプや万力、工作機械なども一から全て揃えなくてはいけないからお金がかかって大変でした。
⎯⎯⎯⎯ その次が町屋のアトリエになりますか?
大森:はい。実家で制作をしながらアトリエは2年間くらいずっと探しつづけていたのですが、アートフェアへの出展が決まって、そこに大きな作品を出品したかったものですから、何が何でも広いアトリエを持たなければならなくなりました。あちらこちらを探し歩いたのだけど、なかなか見つからなくて・・・ある日、町屋で紹介された物件を内見したものの空振りに終わり、気落ちして帰るとき、ふと都電のホーム脇の不動産屋さんの窓に「貸倉庫」の募集が貼ってあるのを見つけピンと来て、すぐに内見させてもらいました。そこが2番目のアトリエです。
⎯⎯⎯⎯ そこはどんなアトリエでしたか?
大森:平屋が2棟くっついている、いわば長屋で、そのうちの1棟はほかの方が倉庫として借りていましたが、もう1棟が空いていました。建物はコンクリートの土間が9坪弱、フローリングの事務所部分が5坪ほどですが、ほかに旗竿敷地部分があって、そこに材木や車などを置いてもいいと言われたんです。
⎯⎯⎯⎯ それは好都合でしたね! 土間というのもまた良かったように思います。
大森:ああ、でも土間は木彫には向かないんです。粉塵が舞ってしまうし、刃物が欠けてしまいます。
⎯⎯⎯⎯ そうなんですか。土間は汚れに強いから彫刻にもいいのかと思ってました。
大森:いえ、木彫をするには不都合なんですよ。だから土間部分には自分でロール状のフローリング材を敷きました。
⎯⎯⎯⎯ 確かにここのアトリエも床はフローリングですものね。
大森:事務所部分にはキッチンとトイレがあり、風呂はなかったので近くの銭湯へ行って、ここを暮らしの場にもしました。4年後、隣りの棟も空いたので借り増しして、そこにはシャワーブースもつくりました。
⎯⎯⎯⎯ 町屋のアトリエでは音の問題は大丈夫でしたか?
大森:いえ、大丈夫じゃありません。裏のアパートの住人から警察に2度通報されました(苦笑)。それで僕のアトリエと裏のアパートの大家さんは同じ方だったので、管理している不動産屋さんに謝罪に行ったんです。ところが警察に通報した方は少々問題のある方だったようで、不動産屋さんの社長さんからは「気にせずどんどんやれ!」と言ってもらえました。
⎯⎯⎯⎯ ここでも理解のある不動産屋さんに恵まれたんですね~。
大森:町屋は元々町工場が多く、下町の雰囲気も色濃く残っている土地柄だから、そういう点も良かったんだと思います。
アトリエ賃貸に望むこと
⎯⎯⎯⎯ 大森さんのアトリエは町屋時代も含めて、自分自身の手でつくってこられた、という印象が強いですが、アトリエ賃貸について感じていること、考えていることなどを聞かせていただけますか?
大森:そうですね。僕はあんまりアーティストに与えすぎてはいけないと思っています。自分がそうだったからそう言うわけではないのですが、普通に見たら使いづらかったり、単なるオンボロ物件だったりするものを、捉え方を変えたり、あれこれ工夫したりして、自分にとって良いアトリエに変えていくことが大事な気がします。
⎯⎯⎯⎯ 「与えすぎないことが大事」というのは不動産会社やオーナーさんにとってはなかなか難しい注文な気がします(苦笑)。
大森:それはそうかもしれませんね(笑)。でも、完全にお膳立てされたスペースを使おうというアーティストが魅力的な作品を生み出せるとは思いません。
⎯⎯⎯⎯ アーティストの方はDIYもきっと得意だから、自分でアトリエも改造していくことができるのでいいですね。
大森:いやぁ、DIYについては実は反対なんです。もちろん多少の造作は自分でしますし、そこそこの事はもちろんできますが、基本的に建物や内装の工事は自分できちんとプランを立てたら、実際の施工はプロに頼みます。
僕自身、プロの創る彫刻と趣味の方が創る彫刻の次元の違いを理解していますから、建築も同様でその違いを尊重しています。建物は毎日過ごし、日々目にするものなので、自分の創る作品のクオリティに大きく影響を与えます。これはジワジワと自分の感性を良くも悪くも浸食しますから、とても大事なことだと思っています。
⎯⎯⎯⎯ 自分の手でつくったほうが安く仕上がりそうですが・・・。
大森:もちろんプロに頼めば金額的には高くなりますが、そのかわり職人さんの作業は必ず見学させていただき、その技を学ばせてもらいます。道具の扱いや作業の段取り、ほんのちょっとしたテクニックにも感動します。そしてそれは自分の領域である彫刻に必ず生きてきます。これらを授業料だと思ったら、工事費など安いものです。
⎯⎯⎯⎯ なるほど~。ものづくりをする方を尊敬する気持ちの強さはアーティストならではなのだと感じます。ほかにはいかがでしょう?
大森:アトリエよりもストックスペースが欲しいです。
⎯⎯⎯⎯ 大森さんのアトリエはストックスペースも十分ですものね。
大森:いえいえ、ここでは足りなくて、近所の元・居酒屋さんだったところをストックスペースとして借りているんです。
⎯⎯⎯⎯ ああ、そんなにスペースが要るんですか?
大森:彫刻は作品のひとつひとつが絵画より大きいので、ストックスペースは常に悩ましい問題です。郊外でも十分なので、共同のストックスペースがあったら、若手の作家なんか本当に嬉しいんじゃないでしょうか。
⎯⎯⎯⎯ ストックスペースに必要なものは何ですか?
大森:彫刻はさほど問題ない気がしますが、絵画などでは温度や湿度の調整ができることが必要です。あと時に修理などでお客様の所蔵作品をお預かりすることもありますから、セキュリティーはやはり大事。ただの巨大な空間というだけではダメです(苦笑)。
⎯⎯⎯⎯ Vol.005でJIANの小路浩代表は、「作品を撮影できるスタジオが併設されたストックスペースがあるといい」とおっしゃっていました。
大森:僕の彫刻作品はずっと決まった写真家さんに撮っていただいているのでスタジオはなくてもいいけれど、絵画の方なんかはそうかもしれませんね。あとストックスペースにある作品を定期的に展示し、一般の方が見られる場所があったら面白いんじゃないかと思います。
⎯⎯⎯⎯ 貴重なご意見の数々、どうもありがとうございました。彫刻と絵画のアトリエとでは、音の問題以外にも必要な床材などたくさんの違いがあることを学ぶことができました。「与えすぎてはダメ」というお言葉もじっくり咀嚼して、良い答えを模索していきたいと思います。またご意見を聞かせていただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
文:久保田大介