ガイシ工場の敷地内にあるアトリエ
今回(Vol.025)の「アトリエ賃貸推進プロジェクト」では、これまでなかったタイプのアトリエ賃貸物件をご紹介します。
どこが違うかと言いますと、第一に共同利用できるアトリエと作品保管スペースがついた賃貸マンションであるということ。第二に音出し作業がOKということ。この2点です。
まずはこのことから説明を始めさせていただきます。
トップ画像はアトリエとして無償利用できる空間なのですが、この画像を見て「よくわからないけど心惹かれるものがある」と思ってくださる方と、「何だ、このガラクタの山は?!」とスルーされる方とにはっきり分かれるだろうと思います。
「ガラクタの山」と言われればまさにその通りで、今はまだ置いてあるものを処分しておらず、今回、入居者さんが決まったら、オーナーさんに整理していただくことになっています。
また、この共用アトリエはどのように使っていただくか、まだ決めていません。
「借りたい!」と熱望くださった方たちと、使い方などを話し合い、一緒につくりあげていくことになるかと思います。
今回のアトリエ賃貸は、アトリエ部分、作品保管スペース、居室(=賃貸マンション)の3つに分かれています。
オーナーはガイシ工場を経営しておられ、3つのスペースとも工場と同じ敷地内にあります。
ガイシ工場はそれなりに音がします。だからアトリエで音の出る作業をしても、許容範囲はかなり広いというわけです。都内で音出しOKという物件は珍しいので、価値が高いと思います。
この2点をふまえて、まずはアトリエとして無償利用できるスペースからご紹介しましょう。
無償利用できるアトリエ空間
今回、無償利用できるアトリエとして提供いただけるのは、現在、倉庫となっているスペースです。
幅約6m、奥行き約10mで、長方形だから面積は60㎡程度。高さは2.7m程度だと思います。
ここにあるのは一部(サーフィンボードなど)を除いてオーナーとしては要らない物ばかり。ガイシの古い製品も棚に陳列していますが、それも含めて入居者さんが希望すればもらうことができ、誰も必要がなければ前述の通りオーナー側で処分します。
床は土間になっていて、常識の範囲であれば汚してもOK。照明器具はライティングレールをつけようかとオーナーと相談しています。
写真の右側扉の奥にはトイレがあります。
その横にミニキッチンがあり、どちらも掃除をすればそのまま使えます。
入口扉は高さ1.8m、幅80cmほどのサイズ。
標準サイズなので、絵画であれば130号作品の搬入・搬出が限界だろうと思います。
入口扉の前は幅広の通路スペースになっていて、ゲートにはシャッター扉がついています。
これだけスペースがあれば搬入・搬出はしやすいはず。
搬入・搬出時は真ん前に車を一時的に停めることもできます。
アトリエスペースの奥にも棚が並んでいます。
この棚も希望すればそのまま使うことができます。
ここから出して、このあと説明する作品保管スペースに設置すると便利かもしれません。
工場とアトリエスペースの間には、ご覧のような広場があって、何かを常設しておくことはできないものの、ここも制作スペースとして使うことができます。水場があるから重宝しそうですね。
作品保管スペースなどとして無償利用できる空き部屋
続いて作品保管スペースとして無償利用できる空き部屋へ参りましょう。
工場の裏手に南京錠がかかった門があり、それを開けて通路を奥まで進んだところに、その空き部屋はあります。
ちょっとした迷路みたいになっていて、まるで秘密のアジトみたい。
この部屋は長らく物置として使われていて、要らないものが雑多に置かれています。
これらをオーナー側で処分したあと、自由に使ってもよいとのことです。
私は作品保管スペースにするのがいいかなと思いましたが、ミーティングルーム、アート教室などとして使うのも「あり」。ここもアトリエにしてしまう手も「あり」ですね。
空き部屋のバルコニー前にも空き地があり、ここもきれいに使っていただけるのであれば提供してくださるそうです。
ここまで紹介したスペースは、「要らないものはオーナー負担で処分してくださる」「賃貸マンションのお部屋を借りてくださった方は無償で利用できる」ということだけ決まっていて、そこから先は白紙です。
賃貸マンションは、この記事を書いている時点で3部屋空いていて、そこを借りてくださる方がアトリエ等を利用できますが、今後ほかの部屋が空いたら、そこの入居者さんも利用可能とします。
これを受けて、私が考えたのは、
❶各居室はアトリエ兼住居としていただき、音の出る作業をするとき、アトリエスペースを共用してもらう。
❷作品保管スペースとして考えている部屋の使い方は、はじめに入居くださった方たちと一緒に使い方を相談して決める。
ということです。共同利用いただく際のルールも、はじめに入居くださった方たちと話し合って決めたいと思っています。
アトリエ利用も可能な住まい
続きまして、住まいのほうをご紹介します。
居住室は52.89㎡の3DKタイプ。
6畳間が洋室になっている部屋と和室のままの部屋とがあります。
はじめに和室のある部屋の方から写真でご案内します。
ダイニングキッチンと東側洋室、和室は建具を開放すると広々とした空間となります。
西側洋室は寝室に向いているように思いました。
アトリエ兼住居として利用するならば、東側洋室と和室をつなげてアトリエにすると、使いやすそうです。
住まいのセールスポイントはバルコニーからの眺めでしょうか。
こちらの建物は道路を隔てて土手と川に連なるので、眺望が抜群。創作中の気分転換には絶好だと思います。
次は3DKの3室が全て洋室となっているお部屋です。
6畳の部屋が洋室にリフォームされている点だけが、先ほどの部屋と違います。
和室付きの部屋をご紹介したときに、バルコニー側の2室の扉を開いてアトリエにするとよいように書きましたが、2室とも洋室のほうがアトリエとしては活用しやすいかもしれません。
その分、お家賃は和室付きの部屋にくらべ1万円高くなっています。
街情報と募集条件
今回のアトリエ賃貸物件は東京都北区志茂5丁目にあり、最寄り駅は東京メトロ南北線「赤羽岩渕」駅です(徒歩9分)。JR山手線の乗り換えができる「駒込」駅までは約11分、JR総武線や東京メトロ東西線、有楽町線などが乗り入れしている「飯田橋」駅まで約20分と、通勤の便はまずまず。
「赤羽岩渕」駅のほかJR「赤羽」駅までも歩いて17分で行くことができます。
物件のすぐそばを新河岸川、荒川が流れていて、バーベキュー場やテニスコート、野球場、ゴルフ場などレクリエーションの場もいっぱい。土手に座ってのんびり過ごすのもいいですね。
買い物は駅近くまで行けばスーパーやコンビニがたくさんあります。
最後に募集条件をお伝えします。
お家賃は和室付きの部屋が105,000円で、全室洋室タイプが115,000円。ほかに共益費5,000円が必要です。
アトリエや作品保管スペースが無償で使えるので、お得感がありますね。
敷金と礼金は各1ヵ月ずつ。
2年契約で更新料は新賃料の1ヵ月分ということでした。
利用方法やルールを一緒につくりましょう
本物件はすでに一般募集が始まっていますが、アトリエや作品保管スペースの話は最近(2022年12月上旬)決まったばかりなので、その情報はまだ広まっていないと思います。
前述の通り、アトリエ等の利用方法やルールも決まっていません。現在、空室となっている2つの部屋を借りてくださった方たちとオーナーさん、管理会社さんに私も加わって、よく話し合い、決めていきたいと思っています。
要らない物がわんさかあって、何も決まっていない状態でお知らせするのもどうかという気もしたけれど、“まっさら”な状態だから「面白い!」と感じてくださる人もきっといるはず。そう信じて読者の皆様にお伝えすることにしました。
なお、今回の物件は1977年築と古いため、将来的に取り壊す可能性もあります。
オーナーさんは「最低3年間は取り壊すことはありません」と言われています。
取り壊される可能性があるということも含めて、関心を持ってくださった方は「空き待ち」登録のページからコンタクトしてください。
どんな方と出会えるのか、とても楽しみです。
文:久保田大介