天井の高いアトリエ賃貸物件の新築工事が始まりました
武蔵野美術大学(東京都小平市)まで徒歩13分ほどのエリアにある土地でアトリエ賃貸の新築計画を進めていることを、Vol.021、Vol.022、Vol.023、Vol.026と、過去4回にわたりご紹介してまいりましたが、建築面での課題がクリアとなり、2023年7月から新築工事が始まりました。
完成は来年(2024年)2月中旬の予定で、当コーナーでは今後も工事の進捗状況をお伝えしてまいります。
今回は新築工事開始のご報告とともに、間取りプランを初めて発表させていただきます。
新築アトリエ賃貸の間取りプラン
現在新築工事中のアトリエ賃貸物件は、木造2階建てで、専有面積30.17㎡の部屋が全部で6室という構成になっています。
特筆すべきは天井の高さで、1Fは3.2m(3200mm)、2Fは3.3m(3300mm)もあります。
今回の目標は「200号の絵画が描け、搬出・搬入も楽にできること」。
200号というとF(人物)で2590mm×1940mm、P(風景)で2590mm×1818mm、M(海景)で2590mm×1620mmですから、壁の幅もしくは天井の高さが3m近くないと描けません。
この新築プロジェクトでは、窓がなく幅5m近くある壁を一面設け、高さは前述の通り1Fは3.2m(3200mm)、2Fは3.3m(3300mm)にしてありますので、200号サイズの作品が楽々描けるかと思います。
搬出・搬入も楽にできるよう、玄関ドアは2.8m(2800mm)にしてあり、廊下や共用階段の幅も、200号の作品を運ぶ際、不自由のない広さにしてあります。
こちらはアトリエ兼居室の間取図です。
特長としては、制作スペースを広く取るため、水回りは最小限にしてあることがまず挙げられます。
浴室はなくシャワールームのみ、キッチンもW1200とコンパクトです。
制作の際、水場がキッチンだけだと不便かと思い、玄関スペースに制作用のシンクを設けています。
間取図では平面のため高さを実感しづらいので、オーナーに依頼して室内のイメージパースをつくっていただきました。
左側の壁面が「窓がなく幅5m近くある」と前述した壁ですが、ここに飾られている絵画は200号サイズ。
パースに描かれている人物は身長170cmと設定しているので、天井高3.2m(このパースは1Fのものです)の高さがどれだけのものか、実感いただけるでしょう。
そしてこの窓のない壁面は、釘を打っても大丈夫なよう、合板下地になっています。
また、洗濯機置場・トイレ・シャワールームの上部がロフトになっていることにもご注目ください。
オーナー提供の脚立で登り降りしていただきますが、このロフト部分は作品保管スペースとしてご利用いただくと便利かと思います。
こちらは玄関側から見た室内のイメージパース。
床材は汚していただいても大丈夫なよう、あえてクッションフロアにしています。
またキッチン右脇のスペースは生活空間としてご利用いただくことを想定しています。
この生活空間は、ベッドやワークデスクなどを置いていただくスペースですが、天井高が3.2m(2Fは3.3m)あることを活かして、ロフトベッドを利用することを提案したいと思います。
ロフトの上部はベッドに、下部はデスクやソファー、衣装箪笥などを置くのはいかがでしょうか?
なお全室とも隣の部屋と接している壁面は遮音壁としていることも特長のひとつです。木造の場合、防音性能の低さが気になるところですが、遮音壁を使用することで、この不安を和らげたいと考えています。
ほかにもお伝えしたいポイントはいくつもありますが、今回はここまでにいたします。
この新築プロジェクトでは、ハード面でなくソフト面の充実も図っています。
そのひとつにVol.022でも触れた美術倉庫の共同利用サービスがありますが、これは次の機会に詳しくご紹介したいと思います。
入居希望の受け付け開始
過去4度にわたり配信した新築計画の紹介記事を読まれ、これまで3人の方が空き待ち登録をしてくださっています。
全員が正式に入居申込みされるかどうかはわかりませんが、着工前の段階で3人もの方が入居を前向きに検討したいと言ってくださったことは、オーナーを大いに勇気づけてくれました。
今後も空き待ちならぬ“完成待ち”のご登録を積極的に受け入れさせていただきます。
「完成したら内見してみたい!」というご希望がある方は空き待ち登録のページからご連絡ください。
ご登録くださった方は一般公開に先駆け、内見いただけるようにする予定です。ご登録や内見に費用はかかりませんので、安心してご登録ください。
さて、最後に気になるお家賃ですが、現時点ではまだ決まっていません。ただオーナーサイドでは、あまり高くしてしまうと、これからの作家さんたちには重たいだろうと考えられていて、お家賃は10万円未満とする方向で調整しています。
なお、今回は木造であること、近隣が閑静な住宅街であることから、彫刻など大きな音が出る作業をともなう作家さんは難しいのではないかと思っております。
しかし、どこまでが許容範囲かは一概には言えないので、この点も気軽にご相談ください。
文:久保田大介