菓子工房づくりをサポートしてほしいという依頼が増えています
「自前の菓子工房を持ちたい!」と考え、空き待ち登録者をしてくださった方は2024年12月末時点で224名いらっしゃいます。
「ワクワク賃貸」ではオーナーさんや管理会社さんから、「この物件を菓子工房にして賃貸できますか?」というご相談を受けたら、空き待ち登録者さん全員にメールを配信し、利用希望者を募っています。
その後、利用希望者さんたちに集まってもらって現地説明会を開催し、気に入られた方がいらっしゃったら、工事の負担区分を決め菓子工房をつくり、賃貸借契約を締結する、という流れができあがってきました。
それとは別に、オーナーさんから「所有しているマンションの空き部屋をリノベーションし、自分で使う菓子工房をつくりたい」というご相談も少しずつ増えています。
今回はそんなご相談案件から、東京都北新宿(最寄り駅はJR総武線「大久保」駅)に、オーナーさんのお父様が所有しておられるマンションの空きスペースを菓子工房にしたケースをご紹介します。
ご依頼くださった中村晴美さんは、2024年10月に念願の菓子工房が完成したあと、さっそくご自身で使い始めましたが、「フルに使わないので、曜日を決めて利用してくださるシェアメイトを募集してもらえませんか?」と申し出てくださいました。
その募集条件と合わせて、中村さんの菓子工房をご紹介したいと思います。
中村晴美さんの菓子工房
中村さんのお父様が東京都北新宿に所有するマンションの1階にはタバコ屋がありました。
タバコ屋の奥にはキッチンとトイレがある事務所スペースがあったのですが、半年前までは物置として利用されているだけでした。
中村さんはこの2つのスペースを合わせて菓子工房にしたいと考え、2024年6月に「ワクワク賃貸」編集部に相談をしてこられました。
写真は最初に訪問したときの事務所スペースの様子です。
中に置かれているものは中村さんにとって不要なものばかりなので、ここを菓子工房にして、自分でお菓子の製造・販売事業を始めたいとリクエストされました。
さっそく現地を訪問し、中村さんと打合せを開始。有償で菓子工房づくりのコンサルティングを請け負わせていただくこととなり、新宿保健所に監修してもらいながらプランをつくり始めました。
上の平面図は最終的にまとまった菓子工房のプランです。
タバコ屋&事務所だった約15㎡ほどのスペースに、キッチン、作業台、洗面台、トイレとその前室を収めています。
プラン策定と同時進行で工事金額の見積りをし、出てきた金額を見ながら、中村さんがご自分で手配する箇所を決めるなどの調整をしてから、2024年9月に工事を発注。
工事は順調に進み、2024年10月に完成しました。
「相談する前では夢物語のような感覚だったのですが、トントン拍子に話が進み、あっという間に菓子工房が完成したのでビックリしました(笑)」とは中村さんの感想。
中村さんはご決断が早く、気になったことがあったら一人でも新宿保健所に相談に行くなど行動力が抜群だったこともあり、菓子工房づくりはハイペースで進みました。
それでは完成した中村さんの菓子工房をポイントごとにご案内しましょう。
まずキッチンですが、中村さんは二層シンクの商品を選ばれました。
菓子製造業のキッチン・シンクは一層で構わないとする行政がほとんどですが、新宿保健所では菓子製造業でも二層シンクを推奨しており、「HACCPに則って、食材を洗うスペースと食器を洗浄するスペースを使い分けるマニュアルをつくれば一層シンクでもいいです」と言われました。
二層シンクにすると調理スペースが削られますし、コストもかかるので、中村さんは迷われましたが、最終的に衛生管理を優先し、二層シンクのキッチンを選びました。
シンクの上部にふたをするなど、ご自身で工夫すれば、作業スペースにできるので、新宿区内でつくることを考えれば良い選択だったと思います。
作業台は、施工業者さんに製作依頼するとかなり高額になることがわかったので、中村さんが自身で購入し設置されました。
奥に冷蔵庫置場とオーブンレンジ置場が設けられています。
横長の窓は元からあったもので、一部を閉じて壁にすれば背の高い冷蔵庫なども置けましたが、中村さんは明るさを優先されました。決して広くはないスペースなので、開放感があっていい感じです。
照明器具はライティングレールを2本設けました。
ライティングレールは、つくったお菓子の撮影をするときに、照明の種類や色、量などを自分で調整できるので非常に便利です。
調理スペースに設置を義務付けられている手洗いはコンパクトなものをチョイス。 下部にキャビネットのある手洗いもありますが、このタイプの手洗いはすっきりして圧迫感がないのが長所です。
調理スペースの床材は清掃が簡単にできるようクッションフロアを選びました。
菓子工房内のクロスやクッションフロア等のカラーは中村さんご自身がコーディネートされましたが、清潔感があって、私はとても好きです。
右側にある紺色の扉を開けるとトイレと前室がありますが、この扉も中村さんが選びました。
トイレと前室はできる限りコンパクトに収めるようプランニングしました。
トイレに必要とされる専用の洗面台も小さなサイズのものをトイレ内に設置。
前室はコート用フックを壁に取り付け、着替え室を兼ねることにされました。
こちらは手洗いや冷蔵庫側から見た菓子工房です。
サッシの奥に、タバコ屋だった三角の形をしたスペースが見えます。
このスペースは、今はまだ使われていませんが、中村さんは食材を置く場所としたいほか、「シェアメイトさんがご自身の冷蔵庫やオーブンレンジを持ち込みたい場合は、こちらに置いてもらえるようにします」(中村さん)とのことです。
中村さんの菓子工房の立地
菓子工房のシェアを検討くださる方のために、中村さんの菓子工房の立地もご紹介しておきましょう。
最寄り駅はJR総武線「大久保」駅で徒歩10分という距離。都営大江戸線「東中野」駅にも15分ほどで行けます(JR「東中野」駅までは11分です)
マンションの菓子工房前のスペースに駐輪できるそうなので、自宅が近い方は自転車で来ていただいても大丈夫。
東京都中央卸売市場(淀橋市場)が隣接しているのも、食を扱う場所に似合っています。
淀橋市場で食料品は直接買うことはできませんが(※許可を取れば購入可能)、市場内の飲食店は利用できます。
「菓子工房から350mの所に『いなげや』、500mの所に『キッチンコート』、850mの所に『サミット』、アトレの中に『成城石井』があります。お菓子に使う材料や器具を買うのなら、新宿にある『富澤商店』を利用するのがいいと思いますよ」(中村さん)とのことで、買い物の便は非常に良いと思います。
菓子工房のシェアメイトを募集
最後に、菓子工房のシェアメイトを募集するにあたり、利用条件や賃料等をご案内します。
まず、最も大切な点からお伝えしますが、中村さんは米粉を使ってお菓子やパン等を製造される方と菓子工房をシェアしたいと考えておられます。
中村さんご自身が米粉を使ったお菓子やパンをつくられるので、他の食材と混ざらないようにするためというのが第一の理由。
そのうえで中村さんは、つくったお菓子等を互いに試食し意見交換したり、販路を一緒に開拓したりすることを希望されています。単にシェアメイトというだけでなく、ビジネスパートナーとなってくださるような方との出会いを求めておられます。
これをふまえ、募集条件をまとめてお伝えします。
《募集条件》
❶ご利用いただける曜日と時間
月・火・水・木曜日限定で、24時間利用可能です。
金・土・日は中村さんが使用される予定ですが、使わない日もあるので、毎月1回、金・土・日の1日を無料でご利用いただけるようにしてさしあげたいとのこと。
また金・土・日を2日以上利用されたい場合は1日につき5,000円(税別)でご提供くださるそうで、「スケジュールは前もってご相談ください」と言われています。
❷利用料
まだ決定していませんが、月額50,000円~60,000円(税別)程度と考えておられます。
利用希望者さんたちのお話を伺ってから、最終決定されたい意向です。
利用料のほかに光熱費として6,000円(税別)をご負担いただきます。
❸敷金・礼金
賃料の1ヵ月分ずつ(事業用なので礼金には消費税がかかります)と考えています。
❹利用期間
定期借家契約とし、初回の契約期間は3ヵ月とし、そこでお互いに問題がなければ、その後は364日間の再契約をいたします(オーナー側に特別な事情が発生した場合、再契約をしない可能性はあります)。
なお、通常の更新料にあたる「再契約料」は不要とのことです。
❺菓子工房内に置ける物
冷蔵庫、オーブン、お菓子やパンを製造するうえで必要な道具(ゴムベラ、スケール等)を置いたままにしていただけます(量やサイズは要相談)。
募集条件等は以上です。
今後の進め方ですが、この記事をご覧になって、中村さんとのシェアに関心を持ってくださった方のために、現地説明会を開催します。
現地説明会への参加をご希望くださる方は、下記のメールバナーを利用し、お申込みください。
2025年1月末でいったん締め切り、参加希望者が複数おられた場合はご都合を伺いながら、現地説明会の開催日時を決めます。
当日は中村さんもお越しくださいますので、中村さんのお人柄などにも触れていただければと思います(とても明るくて、気さくな方です)。
利用くださる方は中村さんに決めていただきます。
早ければ2025年2月下旬あたりからご利用いただけるのではないかと思っています。
何かご質問等がありましたら、同じメールバナーを使って気軽にお訊ねください。
皆様のご応募をお待ちしています。
文:久保田大介