DIYに興味はあるけれど未経験、という方のために
「DIY賃貸推進プロジェクト」ではDIYに興味はあるけどやるのは初めて!という方のために、DIYのノウハウも少しずつお伝えしていきたいと思っています。
前回(輸入壁紙貼り編)の記事もたくさんの方が読んでくださり、「輸入壁紙の貼り方がよくわかった」「貼ったことがあるけど復習になった」というお声をいただけました。それに気を良くして(笑)、今回はペンキ塗りの施工の様子を詳しくお伝えしたいと思います。内容がかなり濃いので、今月と来月、2度に分けてお話しします。
「大家さんのDIYがっこう」でペンキ塗りを教わる
前回に引き続き、場所は日本初のDIYサポート付き賃貸、「ワク賃023」です。
101にスタジオを構えている「クラディ(旧・DIYER’S PARTY)」が主催の「大家さんのDIYがっこう」で、住まい手と大家さんが一緒になってDIYのやり方を学んでいます。
ペンキの可能性は無限大
ペンキ塗りのいいところは、壁などの大きな面だけでなく、小さな面も塗れること。障害物のない四角い壁なら壁紙を貼るのも簡単ですが、エアコンのダクトがあったり、電気配線のモールがあったりする場所の場合、壁紙を上手に貼るのは至難の技。DIY初心者にはハードルが高すぎます。その点、ペンキ塗りなら細い筆も使えるし、細かい作業も簡単です。
小学生の時に絵の具で絵を描いた経験は皆さんあると思いますし、小物にペンキを塗るDIYならやったことがあるという人は多いのでは。そこから使う道具と塗る量がもっと(かなり?)多くなるイメージです。お部屋もあちこち塗ってしまいましょう!
ワク賃023では、どの部屋のDIYでもペンキ塗りをたくさん行います。同じ間取りの玄関の写真を見てみましょう。
ビフォーは、こんな感じ。木目調の壁がなんともレトロです。
そこをペンキで塗っていきます。ブルー系のペンキは人気の色で、選ばれる方が多いです。
同じブルー系でも、人によって天井の木部を塗ったり、塗り残したりされています。
先ほどの写真の玄関は、天井の木部を一部白に塗装していましたが、木目を生かして残すとこんな感じに。違いがわかるでしょうか?
ワク賃023では扉もペンキを塗れるので、扉を主役にする方もいます。このお部屋は、周囲の壁に扉の色を際立たせる色のペンキを塗って、シックな大人の雰囲気になりました。
ペンキの色や、塗る場所が変わると雰囲気が大きく変わるのがわかりますよね。皆さんも、ペンキを塗ってみたくなりましたか?
ペンキを塗る前にやることがある!
ペンキを塗っているシーンは、海外の映画でもよく見ますし、インターネットでも、楽しそうにペンキを塗っている画像はたくさん出てきます。しかし、実はあの前にたくさんやることがあるのです。
「養生でしょ?」という声が聞こえてきそうですが、違います。養生の前にやることがあります。それは、スイッチプレートなどを外していく作業です。刷毛や筆を使えば細かい部分にもペンキを塗ることができますが、外せる部分は外しておくと作業も楽になって仕上がりもきれいになるのです。
まずは、ペンキを塗る場所にあるスイッチプレート、コンセントプレート、カーテンレールなど、ビスで留まっているものを外していきます。
ここで注意していただきたいのは、外したものとビスを必ず一緒にしておくことです。DIYが終わった後、「このプレートってどこのだろう?」「ビスが1本ない!」という場面をたくさん見るからです。実は私も最初の頃これをやらかしました。この失敗を防ぐには、外したビスをマスキングテープでくるりと包み、それをプレートに貼り付けておくことです。外すプレートがたくさんある場合には、マスキングテープにどこのプレートかを書いて貼り付けておけば完璧です。
インターホンや温水洗浄便座の壁付けリモコンなどは、本体を上にずらして外すことができます。
コンセント、インターホン、リモコン類を外すと金属プレートが出てきますが、それは外さなくても大丈夫。元に戻した時に見える部分だけペンキを塗れば良いからです。
壁に付いている通気口のカバーや、エアコン取り付け用の穴を塞いでいるスリーブキャップも、外せるものは外しましょう。壁の穴に押し込んであるだけの場合は引っ張れば外れます。外し方はインターネットで調べられる場合もありますが、難しそうならそのままにして、マスキングテープで養生しましょう。
養生が仕上がりを決める
「塗装は養生8割」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、何度やっても、本当にその言葉通りだと思います。塗装はとにかく養生が大切で、養生の出来が仕上がりを左右します。
一番使うのはマスキングテープです。マスキングテープを、ペンキを塗る場所と塗らない場所の境目に貼っていきます。幅が何種類かありますが、初心者は少し広めの方が木部などをカバーするのに使いやすいと良いと思います。
貼るときに注意点して欲しい点があります。例として、白い壁紙にブルーのペンキを塗る場合を考えてみます。床と接する茶色の木巾木は塗らないで残したいので、木巾木の壁との境目にマスキングテープを貼っていきます。ちょうど境目にぴったり貼ってペンキを塗り、乾かしてマスキングテープを剥がすと…ブルーと茶色の間に、ところどころ白いラインが表れてしまいました!養生に邪魔されて、白い壁紙が部分的に塗り残されていたからです。これを防ぐには、境目より1ミリくらい引っ込め気味に、マスキングテープを貼ると良いのです。
また、壁紙に凹凸がある場合も、マスキングテープの隙間からペンキが入り込み、剥がしてみるとラインがガタガタ、ということも起こります。マスキングテープを上から押さえてしっかり貼り付けるということが、とても大切なのです。凹凸が大きい場合は、マスキングテープの境目にジョイントコークを薄く塗ると、ラインがまっすぐになります。
そのほか、ペンキが付いたら困る部分も養生していきます。
柱、窓まわりの木部、天井の廻り縁、長押などは、塗装するかしないかでマスキングテープを貼る場所が変わってきます。塗装する前にイメージを膨らませ、どこを塗装してどこを残すかを決めてから養生作業に入りましょう。
ペンキ塗りの必需品、マスカー
室内のDIYが初めて!という方からは、「マスカーを初めて見ました」という言葉を聞くことが多いです。
マスカーとは、マスキングテープとポリシートが一体化したものです。床面や壁面を広範囲を養生したいときに活躍します。静電気でポリシートが貼り付くので、垂直な面や天井もカバーできます。ポリシートの長さが色々ありますが、ポリシート部分は折りたたまれて巻かれているので、あまり長いものを選ぶと切るときに大変です。初心者は短めのものが使いやすいと思います。
インターホンはコードで壁からぶら下がる形になりますので、本体にペンキが付かないよう、マスカーで包み、壁からぶら下げておきます。エアコンなどの外すのが困難な物も、マスカーで全体を包んでおきましょう。
マスカーを塗装されている木部などに貼る場合、マスカーを剥がしたときに一緒に塗膜が剥がれてしまうことがあります。それを防ぐためには、粘着力が弱めのマスキングテープを先に貼り、その上にマスカーを貼るとよいでしょう。
その手順を、「大家さんのDIYがっこう」でも石井さんが教えていました。
ペンキは思った以上に垂れるし跳ねます。初心者のうちは油断せず、横着せず、広範囲を養生することが大切です。
ペンキ塗りは、まだまだ語りつくせない工程がたくさんあります。簡単に見えて奥が深い作業なのです。ペンキ塗り編なのにペンキを塗るところまでたどり着いていませんが、続きは後編を楽しみにしていてくださいね。
文:伊部尚子
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