漆喰の魅力を知って欲しい!
本物の漆喰を自分で塗ってみたい! そんなDIYファンのために、前回の記事では創業92年の漆喰トップメーカー、日本プラスター株式会社の奥山浩司社長から、本物の漆喰の優れた力と同社の商品「うま~くヌレール」について教えていただきました。
後編では、実際の漆喰塗りの方法をお伝えし、あわせて賃貸住宅の大家さんに漆喰塗りをOKしてもらうための方法を考えたいと思います。
大家さんが漆喰塗りを歓迎してくれそうな壁とは?
賃貸住宅の管理会社の立場で入居者さんに「漆喰を塗りたい」と言われた時に、大家さんにOKが取りやすいケースを考えてみます。
一番先に思いつくのは、築年数が古い物件に長く住んでくれている入居者さんから、
・壁紙の汚れや猫に引っかかれてしまった傷が気になるので、漆喰を塗りたい。
・結露に悩んでいたり、湿気によるカビが心配なので、漆喰を塗りたい。
などと相談されたケースです。
前者のケースは、長期入居者さんが退去してしまったら、古い物件は次の入居者さんが決まりにくいかもしれません。今の入居者さんに快適に長く暮らしていただくのが一番なので、入居者さんが自分のペースで壁に漆喰を塗ってくれるなら、大家さんにもメリットがあると思います。
こういう相談の時に便利なのは、「うま~くヌレール」が壁紙の上から塗ることができること。私も湿気が気になる自宅の洗面脱衣所の壁紙の上から、「うま~くヌレール」の水色を塗りましたが、とても手軽でした。
後者のケースはもっと深刻で、湿気が入居者さんの生活の仕方に起因するのであればそれを改善していただくことで解決しますが、物件の構造上の問題の場合は解決しにくいです。そのまま放置すると物件も傷みますし、もし退去になってしまった場合は次の募集にも苦労するなど、どちらにしても大家さんにとって良いことがありません。「うま~くヌレール」の調湿性の高さやカビを防ぐ力でこの問題が解決するのであれば、大家さんにとってもいい話だと思います。
「うま~くヌレール東京LABO」に潜入!
賃貸住宅で漆喰塗りを実現するための更なるヒントを探しに、「うま~くヌレール東京LABO」を訪問してきました。 日本プラスターさんの本社は、漆喰の原材料である石灰石が採れる栃木県佐野市にありますが、東京と京都にも漆喰「うま~くヌレールLABO」があり、漆喰空間を体感したり、「漆喰DIY教室」で漆喰塗り体験をしたりすることができます。
レトロなタイル張りの外壁に、可愛らしい入口がついていました。外壁に漆喰が塗ってありますが、白くてきれいなのが不思議です。昔から城壁や蔵に使われてきた漆喰に、きれいを保つ力があることがわかります。
やさしい笑顔で迎えて下さったのは奥山社長。階段を上がった2Fは、壁も天井も「うま〜くヌレール」で塗られた漆喰のショールームになっています。
3Fは、「うま〜くヌレール」の塗り体験ができるDIYルームになっていました。ここではさまざまな下地に漆喰を塗った様子も見ることができます。
「うま~くヌレール」は和室の古壁にそのまま塗ることができる!
お部屋の一角は和室の砂壁になっていました。このような和室の砂壁はリフォームの際に下地処理して壁紙に変更することも多いのですが、和室のまま残している場合は大家さんが漆喰塗りをOKしてくれそうな気がします。
砂壁にはどうやって「うま~くヌレール」を塗ったら良いか、奥山社長にお聞きすると、「砂壁は表面を触ってポロポロ落ちる程度ならそのままうま~くヌレール仕上げ用を塗れます。繊維壁・土壁なども、表面が下地から剥がれたり崩れたりしていなければ同じように塗れますが、もし表面が崩れていたら剥がしてから塗ってください。カビが生えている場合は、市販のカビ取り剤で除去してから、翌日以降に塗ってください」とのこと。 DIYルームでは、壁一面の砂壁に漆喰を一度塗り、二度塗りした様子が見られるようになっていました。
”和室の壁は素材によってアクが出る”と書いてあったので、奥山社長になぜなのかを質問してみたところ、「アクは古壁に含まれる成分やタバコのヤニ、お線香や囲炉裏のススです。一度塗りでこうしたアクやシミが出た場合は1日以上乾燥させ、その上から二度塗りすれば見えなくなります」とのことでした。
大家さんや管理会社の立場で考えると、和室の古壁はそのままでは入居者さんが決まりにくく、でもリフォームするにもお金がかかります。古壁の状態で住んでくれている貴重な入居者さんに「漆喰を塗りたい」と言われたら、OKしてくれる大家さんが多いのではないでしょうか。
様々な下地に施工OK! なんとタイル面にも塗れる!
次に奥山社長が案内してくれたのは、階段の途中にあるトイレでした。我が家の洗面所で使ったのと同じ水色の壁です。手洗いの上はアクセントとして、厚塗り用「うま~くヌレールDECO」でレンガ調に仕上げてあります。
奥山社長に「壁をよく見て下さい」と言われて改めてよく見たらびっくり! レンガ調に塗った中央部分に、既存のタイルが見えています。ここの壁は元々は全面タイルだったのです。
「えっ!タイルにも塗れるんですか?」と驚く私に、奥山社長は涼しい顔で「はい、塗れますよ。『うま~くヌレール』下塗り用を塗ってから、お好きな色の仕上げ用を塗ってください」と教えてくれました。
このトイレと同じように、古い物件のトイレや洗面所の壁にタイルが貼られていることはよくあり、ピンクのタイルに水色の便器とか、タイルに花柄模様とか、空間全体のバランスを考えるとそのままでは見栄えがイマイチ…ということも少なくありません。しかし古い物件はほかにもリフォームすべき場所がたくさんあってお金がかかるので、割れたり欠けたりしていないタイルは妥協してそのままにすることが多いのです。
もし入居者さんに、そのタイル面に漆喰を塗りたいと言われたら、私が大家さんなら大歓迎ですし、管理会社の立場としても「退去後の次の募集にもプラスになるし、『うま~くヌレール』なら施工も簡単なので、下塗り材含めて材料費を出してあげましょう!」と大家さんに提案したいと思います。
このように大家さん側も、物件がバリューアップし、長く大切に住んでもらえるならば、漆喰塗りを入居者さんにOKしても良いと考える可能性は十分あると思います。
ちなみに賃貸住宅でよく遭遇する下地で、タイル面と同じように下塗り用を塗れば大丈夫なものは、合板・化粧合板、コンクリート、ペンキ仕上げの壁などだそうです。下塗り不要で仕上げ用をいきなり塗れる下地は、ビニール壁紙、繊維壁・砂壁・土壁などの古壁、石膏プラスターボードなどだそう。
漆喰初心者はそのまま塗れるかどうか迷ってしまうことが多いので、下地別に塗り方が示されていて、しかも下塗り用が用意されているのは初心者にもわかりやすくて助かりますね。奥山社長、いろいろ教えていただき、ありがとうございました!
大家さんにとっては施工のうまさも重要
入居者さんに「漆喰塗りしていいですか?」と聞かれた大家さんは「ちゃんとうまく塗ってもらえるのか?」ということも心配します。大家さんに安心してもらうためには、施工のうまさも大切です。「うま~くヌレール」はWEBショップで購入すると、もれなく塗り方読本とDVDが付いてきます。これらでしっかり予習するかどうかで仕上がりが大きく変わります。
偉そうに言っている私ですが、実は洗面所を塗る時にきちんと予習しないで塗ってしまい、密かに後悔していることがあるのです。塗り方読本にもDVDにも準備するものにヘラが挙げられていたのに、ちゃんと読まずにコテ板だけで作業したので、かなり手間と時間がかかってしまいました。
時間がかかるだけなら良かったのですが、実はこの日は大晦日で、二度塗りの途中で除夜の鐘が鳴ってしまい(笑)、隅を塗り残したまま作業途中で寝てしまったのです。
元旦に残りの作業を再開したら、ペンキと違って漆喰は塗り面に厚みが出るため、既に乾いた部分とうまくなじまず、「後から塗った感」が出てしまいました。もし人からの借り部屋だったとしたら、もっとうまく塗りたいところです。
しかも、塗り方読本には二度塗り終了後すぐにマスキングテープを剥がすように書いてありましたが、二度塗り完了が翌日になってしまったため、マスキングテープの端が固まって残り、カッターを使って取り除くという新たな手間までかかってしまいました。
これらの経験から皆さんに伝えたいことは、うまくきれいに塗るためには塗り方読本と30分間の塗り方DVDでの予習が必須ということです。特にDVDの動画で見ると、施工方法がとても良くわかります。私もDVDを見ていればヘラの重要性がわかったはず。
また、一人で施工する場合は時間がかかるので、よりきれいに塗るためには作業は面単位で行い、その面全体が塗り終わるまで長時間休憩しないことをお薦めします。一度塗りと二度塗りは時間が空いても大丈夫です。予行練習に、東京・京都の「うま~くヌレールLABO」で、漆喰DIY体験教室に参加してみるのも良いと思います。
初心者のDIY施工を助けてくれるのは、良い道具と正しい手順。普段取扱説明書をあまり読まないタイプの私は、今回大いに反省しました。
壁紙を剥がして塗る方法に挑戦!
洗面所での経験を活かし、次はトイレに挑戦することにしました。転んでもタダでは起きないのがモットーの私、今度はもっとうま~く塗ってやろうじゃないですか!
我が家のトイレは北側に位置していて湿気が溜まりやすいのか、壁紙が継ぎ目から割れて浮いている部分がありました。「うま~くヌレール」は調湿効果が高いので、湿気対策のためにトイレにも塗りたいと考えたのです。
塗り方読本を見ると、剥がれた壁紙は部分的にカットして、端の部分をタッカー針やビスで止めればその上から塗れると書いてあります。「うま~くヌレール」は強アルカリ性なので、タッカー針やビスが錆びて色が滲み出てきたりすることはないのだそうです。
洗面所と同じように壁紙の上から塗るか迷いましたが、壁紙を剥がしてから塗るほうがより調湿効果も高くなるそうですし、単純に洗面所と違う施工方法を試したいという気持ちが強く、壁紙を剥がして塗る方法に挑戦することにしました。
まずは、トイレットペーパーホルダーやタオル掛け、コンセントやスイッチプレートを外し、壁紙の表紙を剥がしていきます。
表紙が剥がれたら、次は裏紙を剥がします。水を含ませたスポンジで裏紙を湿らせてふやかし、浮いてきたところから剥がしていきます。
ここでトラブル発生! 築年数が古く何度もリフォームをしていたようで、裏紙を剥がしたその下にもう一枚裏紙がありました。しかも、裏紙が中途半端に剥がれた場所を平滑にするためにところどころパテ処理してあり、裏紙とパテが一緒に固まっている状態です。これを剥がすのがとても大変でした。
ここで活躍した道具が、合同会社クラディの石井麻紀子さんオススメのスクレーパー。これを使って裏紙をこそげるようにすると本当に楽です。道具は本当に大事ですね~。
今回は裏紙剥がしに一番時間がかかったので、壁紙が部分的に剥がれているくらいであれば剥がれた部分をカットして端をタッカー針やビスで止め、上から漆喰を塗るのが楽ちんでお薦めです。ちなみに天井に漆喰を塗る場合は真下に重力がかかって壁紙が剥がれやすくなるため、必ず壁紙を剥がしましょう。
しかし今回壁紙を剥がしてみて良かったのが、多種類の下地を一度に経験できたことです。このトイレには何と3種類の下地があることがわかりました。壁は外壁に面しているところがコンクリート、それ以外が石膏プラスターボード、天井は一部が石膏プラスターボードで残りは化粧合板でした。建物って表からは見えないところでいろいろ工夫されているんだなあと、興味深かったです。
「うま~くヌレール」下塗り用を塗っていく
コンクリートと化粧合板部分には、「うま~くヌレール」下塗り用が必要です。石膏プラスターボード部分には不要なので、部分的に塗っていきます。
塗る部分の面積は約5㎡弱なので、5キロ缶を一つ購入しました。
必要な「うま~くヌレール」の量の目安は、1mmの厚みで塗る場合、下塗り用も仕上げ用も5キロ缶は約4.5㎡、18キロ缶は約16㎡分の壁画を塗ることができます。初めての場合は気持ち多めに買っておくと安心です。余ったらタッパーなどの密閉容器に入れて、補修用として何年でも取っておけます。小さく固めて消臭剤を作り、靴箱に入れるのもお薦めです。
道具は「うま~くヌレール」コテと、角コテ、コテ板を用意。漆喰はただでさえ重いので、長時間の作業に使う道具は軽さが命です。これはプラスチック製で軽いので助かります。コテ板は漆喰を掬いやすい独自の形状になっており、コテは柔らかくしなるので力加減がしやすく塗りやすいです。専用の道具は偉大ですね。
天井の壁紙を剥がした下地は化粧合板でつるつるしていたため、下塗り用を塗る前に空研ぎペーパーでヤスリ掛けを行い、表面をザラザラにします。
準備ができたら下塗り用を塗っていきます。下塗り用は仕上げ用に比べて、繊維がたくさん入っている感じです。接着力、耐久性に優れているので、接着しにくい下地にもしっかり塗ることができます。
洗面所での学びが生きて、用意したプラスチックヘラが本当に便利でした。洗面所でもこれを使っていれば、もっと作業が楽だったに違いありません。長めのゴム手袋も、破れを気にしなくて良いので施工がやりやすかったです。道具は大事です!
下塗り用の施工が完成。ところどころ下地が透けていてもOKです。
仕上げ用は好きな色をチョイス
一日乾かして、いよいよ仕上げ用を塗っていきます。「うま~くヌレール」は15色のカラーバリエーションがあります。全て天然由来の無機顔料にこだわって作られているナチュラルカラーです。
私は今回、新色のブルーグレーを選びました。モルタル感が出て、カフェのトイレみたいな雰囲気になることを期待しています!
量的には天井も入れて10㎡弱、二度塗りするので、5キロ缶を4つ用意しました。
そして、下塗り用でプラスチックヘラが大活躍したので、もっと柔らかいヘラがあれば更に便利なはずだといろいろ探したところ、キッチンにちょうど良いのがありました! 料理用のシリコンヘラです!
そして、重たい漆喰を掬うのにもっと便利なものはないかとこれまたいろいろ探したところ、大きめのカレースプーンがぴったりではないかと気が付き、余っているカレースプーンを早速使ってみたところ、とても便利でした。
シリコンヘラで隅を塗り、残りの面をコテで塗っていきます。
シリコンヘラは、下塗り材を塗った後のザラザラ面の隅を塗るのにぴったりです。プラスチックヘラだとガリガリと抵抗しますが、シリコンヘラは柔らかくフィット。先を使うと細かい部分も塗りやすく、まるでお菓子に生クリームを塗っているみたいです。
便利な道具のおかげで洗面所の時よりかなり早く塗り終わりました。表面を触っても手につかなくなるくらいまで乾かしていきます。風通しが良ければ1~2時間で乾きますが、窓がなかったり、湿度の高い日は扇風機などで風を送ると早く乾きます。
この日はこれで時間切れだったので、翌日に二度塗り作業をすることにしました。洗面所と同じ轍を踏まないように、マスキングテープを一度剥がしました。
二度塗りはひたすら楽しめる作業
翌日、壁の色はかなり薄いグレーになっていて、いい感じです。一度塗りは下塗り用が透けるくらい薄く塗っているので、ところどころ白い色が見えていました。
意気揚々と二度塗り開始です。一度塗りのときよりコテもヘラもスーッと滑り、かなり塗りやすい感じで、ひたすら楽しく塗り進めることができました。
二度塗りでもシリコンヘラが大活躍しました。ケーキにクリームを塗るように横倒しにすると一度に広い面を塗ることができますし、先を使えば細かい部分も塗ることができます。シリコンなので先端が劣化したらハサミでカットして使うこともできます。100円ショップの調理器具コーナーでも売っていますので、カレースプーンと一緒に是非買ってみてください。
あこがれの櫛引き模様に挑戦!
さて、作業に余裕が出てきたので、ちょっと遊んでみます。壁紙を剥がしたコンクリート面に、夫がお友達から海外土産に貰ったというタイルを建築用両面テープで貼ったので、ここの周辺に櫛引き模様をつけてみようと思い立ちました。
本当は接着剤用の櫛目ヘラが良いのですが、なかったので、自宅にあった一番硬そうな厚紙をハサミでカットして即席ヘラを作成しました。あるもので工夫するのもDIYの醍醐味です。
二度塗りを2ミリ位に厚めに塗り、乾かないうちに特製厚紙ヘラを当てて横に走らせ、なんちゃって櫛引模様ができました!
あっという間に全体の二度塗りが終了し、最後には遊び心も満たすことができました。 二度塗りが終わったらすぐに、マスキングテープを剥がして乾燥させます。
使い終わった道具はバケツなどに汲んだ少量の水で洗い、上水は排水してOKですが、沈んだ固形物は燃えないゴミで捨ててください。缶は残った材料を出して、プラスチックごみとして地域の指定日に廃棄してください。
トイレアクセサリーのビス穴問題の対処法
ここで、外したトイレットペーパーホルダーやタオル掛けなどのビス穴をどうするかを考えたいと思います。そのまま塗るとビス穴は埋もれてしまい、位置がわからなくなることは間違いありません。
そこで最初、建築用の厚手の両面テープを四角くカットして穴の上に貼り付け、ピンを刺してみました。しかしこれではピンが邪魔で、漆喰が塗りにくくなってしまいます。ピンの周囲をシリコンヘラで塗ることはできますが、目立つ場所なので流れるようなコテ捌きできれいな仕上げにしたいところです。
そこで再度考えたのが、ピンも両面テープも一旦全部外して、再度両面テープだけ貼り付ける方法。表面の剥離紙はそのままにしておき、両面テープの段差に引っかからないよう力を加減しながらサーっと塗ってみました。
結果、一度塗りだと両面テープは普通に見えており、二度塗りのときは埋もれてしまったので、場所の見当をつけて乾く前に両面テープを掘り当てました。
乾燥後に、両面テープを剥がしてみると、ビス穴が現れました!
ビス穴に合わせて、リモコンとトイレットペーパーホルダーを元の位置に戻すことができました。周囲の漆喰の塗り方も違和感なしです。
洗面所のときよりも更にうま~く塗れ、仕上がりに満足できました!
出隅、入隅の仕上げ方
へこみや出っ張り部分の角の仕上げ方をいくつか試してみましたので、ご紹介しましょう。
トイレはシリコンヘラを使ってラフに仕上げました。
洗面所は全体的にもっと平滑な仕上げにしたので、角部分も「うま~くヌレール」角コテを使ってきれいに均しました。
角コテの出隅用を使うと、出っ張り部分もきれいに仕上がります。コテの面全体を使うのではなく、壁に対して斜めに持って、上部だけ当ててまっすぐ引くのがポイントです。
ピクチャーレールをつけて壁に絵を飾る
今回のDIYでは、カフェのトイレみたいな素敵な空間にしたかったのですが、実はもう一つやりたかったことがありました。トイレのドアを開けて最初に目に入る正面の壁に、絵を飾れるようにしたかったのです。この面はコンクリートなので穴が開けられず、これまで諦めていましたが、今回のDIYで天井が化粧合板だとわかったので、天井にピクチャーレールを設置することにしました。 ピクチャーレールは金具のメーカー・福井金属工芸さんの1mのものをAmazonで購入。ピクチャーレールには壁付けのものと天井付けのものがあり、更に、壁の施工と同時に壁下地にはめ込んで施工するものと、後付けするものがあります。今回は、天井に後付けするものを選びました。
取り付けたい天井部分は化粧合板で、ビス止めできる下地がありません。こういう時に使えるグッズを、またもや合同会社クラディの石井麻紀子さんに教えていただきました。その名も「どこでも下地 スピード・ミニ」!! 石井さんはホームセンターに勤務されていただけあってこういう便利グッズにとても詳しく、DIY界のドラえもんのような人なのです。
まず、穴あけしたい場所に印をつけて、電動ドリルで穴を開けます。
スポンジを爪楊枝に巻いて穴に差し込み、液をスポイトで注入して乾かします。
30~40分待つと中でスポンジごと固まるので、はみ出しているスポンジをカッターでカットします。
スポンジの下地めがけて付属のビスを打ち、無事にピクチャレールを固定することができました。スピードミニ、なかなかやりますね!
トイレギャラリー完成!
「うま~くヌレール」を塗らなかった柱部分には、ブルーグレーの壁のアクセントになるように、夏水組・坂田夏水さんデザインのオリジナル襖紙を貼ることにしました。壁紙にはない和紙の質感が、漆喰のラフな表情とマッチすると思ったのです。
柱部分に貼ってみると、思った以上に漆喰と襖紙の組み合わせが素敵で、お互いを引き立てていました。これでトイレギャラリー完成です! 頑張りました~!
本物の漆喰パワーのおかげで、これからの梅雨の時期にも安心快適な空間になりました。
私が今回使った購入した「うま~くヌレール」の量をおさらいしておきます。
「うま~くヌレール」の量
■下塗り用
(塗る場所の面積は、コンクリートと化粧合板部分のみ、約5㎡弱)
5キロ缶 1缶
■仕上げ用
(塗る場所の面積は、天井も入れて10㎡弱、二度塗りするので19㎡くらい)
5キロ缶 4缶
実は、表示より少し足りないけど大丈夫かな?と思ったらやはり微妙に足りず、部分的に1度塗りのままになってしまいました(笑)。
漆喰の量がギリギリだと心配しながら塗ることになるので、少し余裕を持って購入するのが良いと思います。
先述しましたが、1mmの厚みで塗る場合、下塗り用も仕上げ用も5キロ缶は約4.5㎡、18キロ缶は約16㎡分が、塗れる面積の目安です。櫛引模様などの厚みの必要な仕上げをしたい場合は、もう少し量が必要です。
使った道具もおさらいしておきますね。
使用した道具
- うま~くヌレールコテ板
- うま~くヌレールコテ
- うま~くヌレール角コテ
- 長めのゴム手袋
- カレースプーン(漆喰を掬う用)
- プラスチックヘラ大小
(主に壁紙や石膏プラスターボード面の隅塗り用) - 料理用シリコンヘラ
(主に下塗り用や仕上げ用を塗った面の隅塗り用) - 保護メガネ(乾く前の漆喰は強アルカリ性のため)
しつこいですが、初心者のDIYを助けるのは良い道具です。道具に手を抜かないことが成功の秘訣だと思います。100円ショップで揃えられるものもあるので、これから漆喰塗りに挑戦する方は準備万端で挑んでくださいね。
最後に、賃貸住宅で「うま~くヌレール」を塗ることを管理会社に申請すると想定して、申請書を作ってみました。築年数が古い物件、和室が古壁の物件、水回りのタイル壁、結露やカビに悩んでいる物件などであれば、成功する確率は高いのではないかと考えています。
申請書に記載している賃貸借契約書の条文番号は、国土交通省の標準契約書に合わせています。 参考にしてくださる際は、ご自身の賃貸借契約書の条文番号を確認して反映させてください。
本物の漆喰の良さが大家さんにも伝わることを祈っています!
文:伊部尚子