《 DIY賃貸推進プロジェクト 》Vol.022

DIYサポート専門家のスタジオ潜入レポート!《プロに手伝ってもらえるメニューを知る編》

投稿日:2021年6月24日 更新日:

一人でできないDIYを、いろいろな方法でサポートしてくれる人がいる

DIYをしたいと思うきっかけは人それぞれ、いろいろあると思います。私の場合は日々の暮らしの中で、「ここにこんなものがあったら便利」、「ここをもっと素敵にしたい」という思いがDIY意欲の出発点になることが多いです。中でも特に、「不便を感じる点を解消したい」という思いが強く、それが皆さんにより良い住まいを提供する賃貸管理会社の仕事にも生きています。
自分一人で方法を探し、材料を手に入れられるDIYもありますが、一人では難しい場合も出てきます。そんな時にも諦めることなく、夢を実現するお手伝いをしてくれるのが「DIYサポートのプロ」の存在。今回はその頼もしいお仕事に迫りたいと思います。

クラディのDIYスタジオに潜入

やってきたのは、DIY賃貸推進プロジェクトにもたびたび登場していただいている合同会社クラディのスタジオ。ここはなんと、DIYサポート付き賃貸住宅のワク賃023の1Fにあり、入居者さんのDIYサポートをしてくれているのが、代表の石井麻紀子さんなのです。

テレビのDIY番組にもよく登場されている石井さん。素敵な笑顔で出迎えてくれました。

早速スタジオに入ると、中には興味深いものがたくさん! 天井に突っ張って設置された棚にはさまざまな種類の塗料がぎっしり。DIYで塗装をしたいとなった時に、数多くの塗料の中からどの塗料を選べばいいのか迷ってしまうことは多いと思います。私自身も用途に合う塗料選びができず、部分的に剥がれてしまったり、下地からアクが出てきたり、弾いてしまってきちんと塗れないなどたくさんの失敗をしてきました。ホームセンター勤務の経験もある石井さんは塗料にも詳しく、用途に合わせたものを提案してくれます。

水性塗料、油性塗料、ステイン塗料、下地調整材・・・?用途によって塗料を使い分ける必要があるそうです。

電動工具やDIYに使うさまざまな道具類の棚もありました。「きちんとした道具や工具はDIYの仕上がりを左右する重要なもの。作業に合わせて専用のものを使う必要がある場合もあります。でも、1回しか使わないかもしれないのに買うのは大変ですよね。そういう方のために工具レンタルも行っています」と、石井さん。
石井さんのおっしゃるとおり、「DIYは良い道具が命」ということは私もDIYのたびに実感しています。仕上がりが違うだけでなく、作業効率が全く変わるからです。自宅のトイレに漆喰を塗るために壁紙を剥がしたとき、石井さんお薦めのスクレーパーがなければ3倍以上の時間と労力、気力が必要だったと思います。私もかなり電動工具を持っている方ですが、ここには私が持っていない特殊な用途のものがたくさん揃っていました。工具をレンタルできるのは助かりますよね。

たくさんの道具・工具たち。中は見たことのないものもありました。

そして、小学校の時の図工室にあったような大きな電動工具もありました。それぞれ用途が違うと思うのですが、どういう時にどれを使うのかが全くわかりません。これらを使い分けるのがプロなのですね。

これは小学校にあったような・・・?

これはさっきのと何が違うのでしょう?大きい板用?すごい存在感。

このような大型の電動工具はさすがにレンタルできる大きさではないですし、使い方をマスターするのも大変そう。そもそも自宅で使ったらかなりの木くずが飛び散りそうです。ワク賃023で洗濯機置場に棚を作ったときも、石井さんが貸してくれた電動工具を使って屋外で行っていました。

石井さんに使い方を教えてもらって、木材をカットする入居者さん。

たとえば棚が欲しい場合でも、市販のものを購入するのと違ってDIYなら希望サイズにピッタリのものを作ることができます。その時に利用して欲しいのがカットサービスです。ホームセンターで木材を買う場合はカットサービスがあればそれを安価に利用できますが、カットサービスのないお店で材料を買ったり、既に購入してある材料を少しカットしたい、穴を開けたい、既存の棚板を短くしたい場合などに、クラディのカットサービスは便利です。私はキッチンにマグネットボードを貼った時に、オンラインショップで購入したマグネットボードをクラディのスタジオに発送してもらい、石井さんにカットしてもらって自宅に郵送してもらいました。クラディのカットサービスがなければ実現しなかったDIYです。

クラディのスタジオでは大きな作業台のあるスペースがあるのです。木材カットなどはここで行うことができます。

襖の洋風リメイクの方法を教わる

今日はせっかくスタジオにお邪魔したので、以前から関心のあった「襖を洋風のドアにリメイクする方法」を見せていただきました。古い物件の和室を洋室に変更するリフォームはよく行うのですが、襖をどうするか困ることがよくあります。襖に壁紙や白い襖紙を貼ってなるべく空間に溶け込ませようとするのですが、あの独特の木枠といい、丸い引き手といい、隠しきれない和テイストといい・・・だからといって、引き戸を作り直すのには結構お金がかかります。
以前、石井さんに相談したら「襖をドア風にリメイクすれば良いんですよ」とおっしゃっていたので、そんなことができるのかをこの目で見てみたかったのです。

「作ったものがあるのでお見せしますね」。そう言って石井さんが見せてくださったのは、どう見てもドア!

かわいいドアにしか見えませんが・・・

「えっ?これ、襖なんですか?」と驚く私に、石井さんは涼しい顔で「そうですよ」とおっしゃり、襖をひっくり返して裏側を見せてくださいました。そこには衝撃の光景が!
本当に襖なんですね!!!しかも古い!(笑)

旅館にある襖みたいです。思わず笑ってしまいました。

襖の中には格子状に木材が組んであるので、窓部分を作るためにそこをカットして、薄い木の板を貼っているのだそうです。

カットした木枠をあてがう石井さん。

格子状でかわいいので、塗装してなにか別のことに使おうと思っているのだそう。石井さんにかかったら、捨てるものも蘇ってしまいます。

窓の部分は軽くて扱いやすいボリカーボネート板を使っているのだそうです。ガラスだと重くなるし、割れたら大変だからとのこと。

窓部分があるとかわいさが増します。

「こんなかわいい模様のポリカ板があるんですか?」と質問する私に、「これは窓用のフィルムなんです」と見せてくれたのは大きなシート状のフィルム。柄がかわいいので、気に入ってよく使っているのだそうです。

なんと、シールでした。こういうものを見つけるのも才能ですね。

「下半分の木の境目は、コストカットのために板を貼って、さらに立体感を出すために影を描いています。絵を描くような感じです」
・・・え?絵?

これが、絵??

近づいてよく見てみたら、確かに影が丁寧に描いてありました! まるでトリックアートみたいです。

う、うまい・・・影がリアルです。

「塗装のテクニックを駆使すると、傷や汚れ、サビを表現してアンティーク風にすることもできます。本物のアンティークは高価ですが、DIYならコストを掛けずに欲しい雰囲気の物が作れるんですよ」
石井さんは『ビンテージ塗装と汚しのテクニック』という本も出されていらっしゃるそうです。

取っ手は全体のアンティークな雰囲気に合うかわいいものが取り付けてありました。元々はいかにも和風の丸い引き手があったはず。これが襖だったとはとても信じられません。

アンティーク風の取っ手が一段とドアらしさを醸し出します。

横から見ると、表面に薄いベニヤが貼ってあるのがわかります。襖の木枠はそのままです。

「たとえば襖を洋風にしたいという相談があった場合には、まずはオンライン相談で、今の襖が本襖かダンボール襖か、原状回復か必要か不要か、好きなテイストはどんなものかなどをお聞きしながら、方法やデザインを提案します」(石井さん)。
「好きな壁紙を貼りたい」「ドアにペンキを塗りたい」など、やりたいことが決まっている場合だけでなく、「不便を解消したいけどどんな方法があるかわからない」という人も、まずはオンライン相談を利用するとよいでしょう。

「壁面にピッタリサイズの棚を作りたいなどのご相談には、設計図作成や必要な材料リスト作成木取り図作成を行っています」(石井さん)。
大きいものを作ろうとすると材料費も結構かかるので、コストダウンのためには材料を余すところなく使うことが大切なのですが、慣れていないとこれが結構難しいです。図面を作成してもらって、材料カットの計画まで立ててもらえばとても安心ですね。

「作業に自身がないので手伝って欲しい」という人にはDIYサポートサービス、「ホームセンターが遠くて買いに行けない」という人には買い出し代行サービスもあるので、DIYに挑戦したい人にとっては本当に至れり尽くせりです。

何でも相談しやすい柔らかな雰囲気の石井さん。一児の母でもあります。

DIYサポートだけでなく、出張可能な場所であれば作業自体をまるごと請け負っていただくことも可能です。私はデザイナーズ物件の猫脚バスの床のスノコがカビで黒ずんでしまったので、表面を削る作業を石井さんにお願いしたことがあります。石井さんは粉が飛び散らないように室内に突っ張り棒を設置してビニールを張り、簡易の作業室を作って作業されていました。リフォーム業者さんには「スノコを新しく作り直すしかない」と言われて途方に暮れていたのですが、石井さんのおかげでスノコがきれいに蘇ったのです。職人さんに断られるような作業でも、何か方法がないかと相談できるのはDIYならではですよね。

サンダーの音をギュイーンと響かせて作業する石井さん。防塵ゴーグル姿でした。

また、もっとDIYの技術を学びたいという方には、DIY学校の開催も行っています。DIY学校の開催日程はホームページやFacebook、Twitter、Instagramなどで告知しているそうですので、気になる方はフォローしてみてくださいね。

輸入壁紙の貼り方を教える石井さん。

最後に石井さんから皆さんへのメッセージをいただきました。

「DIYは住まい手の夢を叶えることができます。こんなことができないかな?という希望を叶える方法は、実は一つではないですし、必ずなにか方法が見つかります。お客様に合った方法を提案するようにしていますので、まずはお気軽にご相談くださいね」

「合同会社クラディ」という社名の由来は、「暮らしにDIY」から来ているのだそうです。石井さんのDIYに対する思いが詰まった社名なんだなと、お話を聞いて改めて思いました。

文:伊部尚子

  • この記事を書いた人

伊部 尚子

独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。好きな工具はBOSCHのコードレス電動ドライバー。DIYアドバイザー、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、CFP®

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