「DIY賃貸推進プロジェクト」で取り上げられた
「賃貸住宅で菓子製造業許可! DIYで住まい+αの夢を実現」を検証したい
お久しぶりのワクワク賃貸研究所ですわ!
(・・・シーン・・・)
・・・まさか夜逃げ!? 森下所長ったら、ちゃんと解約通知書と残置物所有権放棄同意書への署名捺印は済ませてますの!!??
菓子製造販売ができる賃貸住宅をつくるには?
指令書によると・・・ふむふむ、「自宅で菓子製造販売ができる賃貸住宅」の研究ですわ!
お菓子作りが得意な方が、自宅で製造したお菓子をインターネットで販売する・・・ということをする時に、賃貸住宅では何をする必要があるのかを調べるのですわね。
この研究所のパターンとしては建築基準法のチェックが必要な気がしますわね。
あと、お菓子の製造販売をするなら営業許可とかは必要なのかしら?
お菓子作りのためには一般的なキッチンだけでなく設備の追加も必要な気がしますわ
おおっすごいね、きなこ! 調べる必要がある項目はだいたい出そろってるじゃないか
そしてこれらはハード面、つまり設備の問題も密接に絡んでくるはずだ。僕もそこまで詳しくないけど、営業許可のためには保健所の調査なども必要だから、許可をクリアできるような設備が賃貸住宅に設置されている必要があるだろう
区役所の建築課に来ましたわ!
役所のお姉さーん!! きなこですわ!
まず前提として、このようなケースは原則として個別判断になるので、実際に建築したりする前にご相談をしていただければと思います
- 第一種低層住居専用地域はそもそも住宅以外の建築をする要件が厳しいので、特に注意が必要だと思います。
- それ以外の用途地域(※工業専用地域除く)では、それぞれ定められている「店舗」の面積要件を満たしていれば、基本的には問題ないのではないでしょうか。
- ちなみに、住宅や共同住宅の認定には原則として「キッチン・トイレ・バスタブ」の三点セットが必要です。たとえば、バスタブのないシャワールームのみの場合、形態によっては「事務所」や「寄宿舎」とみなすこともあり得ます。
- 自宅が別にあって、この賃貸物件にお菓子を製造販売するために通う、という使い方の場合はさすがに「事務所」や「作業所」とみなされると思います。
区の保健所に来ましたわ!
分類で言うと「製造業」のうち「菓子製造業」にあたります
ちなみに今回は、住宅兼用の企画として考えているんですが、その場合に気をつけることってありますか?
営業許可でほかに注意するポイント
そういえば、最近「レンタルキッチン」または「シェアキッチン」といって、調理場所を複数の会員でシェアして営業許可を取る、ということもあるみたいですけど、これは問題ないんですよね?
もうひとつの大事な注意ポイント!
まず入居者さんに入ってもらう保険ですが、やはり住宅用だけではNGです。
「店舗総合保険」に入っていただく必要があるんですが、店舗の作業内容によってリスクが変わってくるのです。直火を使うかどうかがポイントです。
ざっくりですが、普通の住宅用保険だけに入るのと比較して1.5~3.5倍程度の保険料になると考えて良いでしょう
①入居者が所有する場合、オーナーの保険料は変わりません。
②オーナーが所有する場合、業務用保険になるので保険料は1.5~3.5倍程度上がります。
また2022年には火災保険の商品改定も予想されるため、それによっても変わるかもしれません。火災保険は、このところ数年ごとに商品改定(主に値上げ)を繰り返してきているため、オーナーさんが既存の比較的安い火災保険を業務用に切り変える場合など、上記の目安を超える保険料の上昇になることもあり得ます
補足ですが、入居者さんの方は万が一の食中毒に備えて「生産物賠償責任保険」も検討すると更に安心できると思います
今回の実現度は・・・?
ここまでですでに歴代のどの研究レポートよりも長いですわ!
特に、シンクやトイレが営業用にしか使えないというのは考えたこともありませんでしたわ!
既存のバスタブとトイレとを合わせれば「住宅」や「共同住宅」に必要な三点セットも揃いますわよ!
研究協力
水谷力
リスクマネジメントサービス 代表
RMS社会保険労務士事務所 代表
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 代表
大手保険会社在職中にFP資格を取得。現在はFP・社会保険労務士としてコンサルティング・執筆活動などを行っている。
著書に「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」がある。
連絡先:mizutani@sanjyo.org
文:森下智樹
イラスト:みのもけいこ
企画・監修:伊部尚子 久保田大介